部屋の掃除をしていると一枚のCDが出てきた
通っていた中学を卒業した時に貰ったものである
詳しく言うなら三年次の合唱祭をCDにしたものだ
合唱祭といえば
やたらやる気のある女子勢(ガチ勢)とまったくやる気のない男子勢(ゴミ勢)が温度差故にヴァーサスするという、デリケートな男女間なんざいっそ亀裂を入れてしまえ と言わんばかりのロックなイベントだ
基本的に男子はやる気がないので歌わないため楽曲の音域は自ずとハイトーン寄りとなり
合唱祭当日は終日ほぼハイトーンヴォイスのみが体育館中に鳴り響くというのは鉄板である
自身の中学三年次の合唱祭を思い出してみる
だいたいどこの中学でも同じだと思うが、
母校ではピアノ伴奏者と指揮者がクラスから各一名ずつ選出されるシステムだった
ピアノ伴奏者はすぐに決まる(というかピアノ経験者しか出来ないので自然と決まる)
問題は指揮者である
誰もやりたがらねえ
やる気のある女子が
「伴奏者は女子の○○さんだったから指揮者は男子がやるべきだと思いま~す←ビブラート」
とか言い出す
ざけんなこのヴォケ! と第一R開始
ありとあらゆる罵詈雑言が飛び交う教室
正直私としては
「女子の言い分も一理ある!でも俺は死んでもやらねえぜ!」という物腰が豆腐のように柔らかだったのでどうでもよかったが、
血の気の多い奴同士の不毛な争いは終わらない
ついに担任がてきとーに任命し
明らかに音楽とか興味ない上に苦手そうなH君に決まった
クラス中が
「さすがにあいつじゃ無理じゃね?」
みたいな空気に包まれたが、それを口に出す者は居なかった
そんなことを口にしようもんなら
「じゃあお前やれよ」となることは明白だったのである
そして行われた第一回目の合唱練習でとんでもないことが起こった
曲が4分の4拍子であるにも関わらず
H君は何と
4分の3拍子で指揮を取り始めたのだ・・・
え?
マジで?
拍合わなくね?
それともあれか!?
H君は音楽に全く興味ないかと思いきや、
本当はプログレとかがっつり聴いてる奴だったりするのかい?
練習初日からこの有様だ
男女間はおろか皆の気持ちも拍数もバラバラだ・・・
続く