勝敗の行方 | 見えない翼

見えない翼

私達は誰もが夢に向って翔る“見えない翼”を持っています。しかし、多くの人々が夢を追う事を諦め、翔る事をいつしか忘れて・・・。
そんな世の中にあって、パラグライダーの世界一へ挑戦し続ける父と重度の障害を持ちながらも懸命に生きようとする息子の奮闘日記です。

<ツアー14日目 トルコ8日目> 晴れ

[TASK3 54km成立]

競技最終日。今日成立しないと

予備日(明日8日)を使う事になる。


しかし、日本チームは明日早朝出発だ。

是非とも今日成立してほしい。

風の予報は、またも東風!


ところが、ここが全くの誤報となる。

12時頃には、南西風が入り始め、

テイクオフは俄かに活気付いた。



風が変わらないうちにタスクが組まれ、即、競技開始!

選手が続々とテイクオフ(離陸)していった。

川地は、各メンバー、特に上位の選手に

1つ2つアドバイスを与え送り出した。


空中には大半の選手が飛び立ったが、実に渋い!!

数日前までの4000mは愚か、

3000mさえ上がらない状態。


時間が来て、選手は否応無しにスタートを切るが、

瞬く間に気まずい高度になる。

キャノピーの影がハッキリと地上に映る。



スタートを切ってから15分もたたない内に、

ランディング(着陸)したという報告が、メンバーから届く。

その中に、総合4位のBさんの声があった。


残念!!



同様に苦しい状態の川地は

起死回生を狙い、 『 自動車販売店 』 を狙った。

これが見事に、ビンゴー!!

2800mまで一気に復活する。


生き残ったメンバーは、私とJ子さんのたった二人。

選手全体でも、十数人。とにかく、少しでもJ子さんを

生き残らせて、ゴールに近づけさせる作戦にした。


一つ目のパイロン付近では、西風と東風がぶつかっており、

4000m近くまでがるものの、それより東に進めない!

上げると流されて、進むと下がるという膠着状態となった。



川地は囮となり、無理やり突っ込んだ。

サーマルが出ていれば呼び寄せ、

無ければ待つように指示できる。


しかし、サーマルが出ていると思われる尾根に

向かっている最中は殆ど無かった。

そして、到達するにはあと少し高さが足りなかった。



とにかくゆっくりで良いので、

キープハイでこちらに来るように指示した。

私の思った通り、私の頭上を越えて尾根に辿り着いた

生き残り集団は、上げ直して東の空に消えていった。


その中にJ子さんも居た。

集団から逸れなければ、ゴールできるとアドバイスした。


今日のゴール者は3名!

その中にJ子さんは居なかったが、

ゴール近くまで距離を伸ばしており、大健闘と言ってよい。



結果、J子さんが女子2位の表彰台に上がった。

残念ながらBさんは表彰台に届かなかったが、

タスク2のトップゴールは、大きな自信になるだろうから、

今後の成長が期待できる。