長い一日 中編 夕寝起きで! | 見えない翼

見えない翼

私達は誰もが夢に向って翔る“見えない翼”を持っています。しかし、多くの人々が夢を追う事を諦め、翔る事をいつしか忘れて・・・。
そんな世の中にあって、パラグライダーの世界一へ挑戦し続ける父と重度の障害を持ちながらも懸命に生きようとする息子の奮闘日記です。

療育施設から帰る時に、随分と眠そうだったので、

帰宅したら直ぐに寝せた。

が、30分でお目覚めした。


(短すぎるな・・・)


先週末、足尾の帰りに、調子が悪いという

ワイフの実家のPCを持ち帰っていたので、

それの修理に時間を割いていたので、

余りショウを構っている暇は無かった。


ショウが、もう眠たくないと怒るので、

仕方なく、いつもの様にプレイルームで遊ばせた。

しばらくは玩具で遊んでいるが、

どうせ、直ぐにビデオに突進するだろうが・・・。


(あれ?玩具で遊ぶ音がしなくなった)


(パパが忙しい事をいい事に、移動を開始したな!)


ふとショウを見ると、

玩具の横でうつ伏せになっている。


(やはり、眠くなって寝たか!?)

(しょうがないな・・・)

(だからもう少し寝なさいと言ったのに・・・)

(ベッドに連れて行くか (ーー;)  )


「 ショウくん、こんな所で寝たら風邪ひくぞ! 」

「 ・・・、・・・ 」



何だかショウの様子が変だ!

抱え起こすとグッタリとしている。


これは!


発作!?


油断していた!


ここ2年半、ショウは発作を起こしていなかった。

大きくなったし、血液検査も良好だったので、

順調に成長し、心身共に伸びていた。


もう起きないと思い込んでいた。

だが、それは間違いだった。

これは、ショウが一生付き合う物なのだ。



前回の時は、

心肺停止寸前で、酸欠状態だった。


幸いにも、体が大きくなった分、体力も付き、

呼吸は遅く、寝ている時の様に弱まるものの、

止まりそうではなかった。



ショウを抱きかかえ、落ち着いて様子を観察した。

実際に、私の声かけに対して、

手足、何よりも顔にほんの少し反応がある。


「 あれ? 変だな? 」

「 どうしたんだろう、パパ!? 」

「 体が言うことを聞いてくれないよ? 」


必死に意識を取り戻そうと、頑張っているのが、

腕を伝わって、感じ取れる。

パパの手を握ろうとして、指先がピクピクと動いている。


「 頑張れショウ! 」 と

叫びたかったが、グッとこらえた。


大きな声、特に親の声は、

脳に強い刺激を与えてしまうので、

逆効果だと本に書いてあったからだ。


ほんの少しだけ意識が飛んでいるのかもしれない。

優しく小さく声をかけ、回復を願って、待った。



心の中では、葛藤していた。

救急車を呼ぶのが先か? 回復を促すのが先か?


救急車を呼んだ事がある人は分かると思うが、

結構時間を費やすのだ。

その間、ショウの介助を中断しなければならない。

もう一人居れば、救急車を呼ぶのをお願いするだろう。


最後の手段と決断をするために、

しまじろうのビデオを流した。

やはり、意識が戻らない。


このままでは、

心肺活動がいつ弱まても、おかしくはない。

119番の電話をした。



気道を確保して、救急車の来るのを待った。

今月初めに受けた、 『 普通救命講習 』 が、

まさかこういう形で生かされようとは思わなかった。


遠くで救急車の音が聞こえたので、

ショウを連れ出す準備をした。

フラットシートに出来るバギー(小児用車椅子)は、

こういう時に便利だった。



救急車に乗る時に、丁度ワイフが帰ってきた。

簡単に事情を説明し、私は救急車で、

ワイフは入院準備をして、病院へ来ることにした。



P.S.

救急車にもナビが付いているが、

おバカなナビは、混雑している駅前のルートを選び、

救急車はその誘導に従った?


実際に、空いていて距離も短いルート

(病院へ行く時に使っている道)があるのだが、

タクシーの様に行き方を指図して良いものだろうか?