<療育施設>
帰国したら、翔は元気になっていた。
そして、進歩もしていた。
ワイフの話では、
休みの日にお出かけするので、服を着せ替えていた時の事。
全ての服を着終える前に、玩具で遊ぼうとしたので、
「 ズボンがまだですよ、さあ、次はズボンの番よ! 」 と言うと、
翔が手を伸ばして、置いてあったズボンを取ったそうだ。
ワイフは、 「 まあ、ありがとう!! 上手上手 」 と誉めたそうだが、
内心では、 「 まあ、まぐれだろう!! 」 と高を括っていたそうだ。
今度は、何も言っていないのに、翔は靴を取って手渡したそうだ。
それでも、ワイフは 「 一度有る事は二度有る!? 」 と
本気にはしていなかった。
「 もう一つ靴があるでしょう!? 」 と言うと、
もう片方の補装具を取って手渡したらしい。
もはや、これはまぐれではない、ワイフは確信したそうだ。
これは、もうメガトン級の進歩である。
これまで私達と翔のコミュニケーションは、
単純な動作と意味しかなかった。
「 行こう! 」
「 ご飯を食べよう! 」
「 止めなさい!! 」
「 ビデオを見る? 」
etc.。
しかし、今回は、 「 ~してください 」 と言う “ 依頼 ” なのだ。
これまでとは、レベル,段階(フェーズ)が違う。
依頼を受けるというのは、
『 自分の欲求は何もなく、他人の願いを叶えるのだ。 』
これは、高い知識レベルに達しないと出来ない行動だ。
勿論、
2才ぐらいになれば、普通の子なら誰でも出来ることだが・・・。
翔にとっては、革命的な出来事だ。
早速、川地もやってみた。
「 ショウくん、靴下取ってください! 」
すると、手を伸ばして取ったのは、靴(補装具)だった。
間違えても構わない。(当たり前なのだから)
そんなことより、取ってくれた事が嬉しかった。
( ̄ー ̄)/L (ノ◇≦。)
「 あれっ? それは靴下かなぁ~? 」
そういうと、あれ?これじゃない?間違えちゃった!?
といった顔をして、取り直してくれた。