翔の進歩28 真似っこと言葉 | 見えない翼

見えない翼

私達は誰もが夢に向って翔る“見えない翼”を持っています。しかし、多くの人々が夢を追う事を諦め、翔る事をいつしか忘れて・・・。
そんな世の中にあって、パラグライダーの世界一へ挑戦し続ける父と重度の障害を持ちながらも懸命に生きようとする息子の奮闘日記です。

<療育施設> 晴れ

夜行バスで6:30に到着して、

7:30に駅でワイフとバトンタッチした。


何時もなら、翔はパパの姿が見えたら大はしゃぎするのに

ムスッとしている。何だか機嫌が悪そうだ。 (  ̄っ ̄)  (;^_^A


朝ごはんも食べさせてもらえず、

見ていたビデオは途中で停止させられ、

車でお出かけしてきたので、へそを曲げてしまったようだ。

急いで帰ってご飯をあげたら少し機嫌が良くなった。



今日は療育とPT訓練,音楽療法の日。

以前から家の中で歩行器(UFO)を使用した歩く訓練していたが、

慣れてきたので、PT訓練の先生に診てもらうために、

持って行くことにした。


後で思ったのだが、もっと機嫌の良い日にすれば良かった。



PTの歩行訓練は案の定、

自宅の時と比較して、全然動きが鈍い。

いつも訓練で使っているものと比べれば、

やる気を見せているのだが・・・。

いかんせん機嫌が悪すぎる。  (`ε´) (=´、`=)ゞ



音楽療法は流石に笑顔を見せたが、

ノリノリというわけではなかった。

そして、全ての訓練が終わった後、

いつものように本物のピアノの所に連れて行って触れさせた。



その時思わぬ翔の行動を目の当たりに見た。


翔がいつものように手当たり次第に鍵盤を叩いていると、

音楽の先生がやってきて、音程を変えて、

翔と同じ様な音色になるようにピアノを弾いた。


するとどうだろう!

翔はそれに反応するかの様にピアノを叩いたのだ!!

そして、鍵盤から手を下ろし、

先生が再び弾くのを待っているではないか!! 

そして、先生が弾くと、すかさず翔はピアノを叩いたのだ。

明らかに真似をしている。


スゲ━━━(゚д゚(゚д゚)゚д゚)━━━ ッ !!


翔と先生のセッションはしばらくの間続いた。

未だかつてこれほど高度なアクションを

意図して合わせたことは無かった。



そして、もう一つ驚くべきことがあった。


療育の最中に、するか?しないか?尋ねる場面があった。

川地は勿論、先生方も答えが返ってこない事は重々承知していて、

そういった問いかけをする事は多い。

そして、翔の反応から 「好きか?」 「嫌いか?」 を判断して、

次のアクションを起こそうと思っていたその時、


「いや!」と、か細い声が聞こえた。


(v.v)ィャ  ( ̄□ ̄;)!! Σ(゚Д゚Σ(゚Д゚Σ(゚Д゚)


一瞬、間をおいて

「今、『イヤ!』 と聞こえましたよね??」

と、先生方に聞くと、皆、

「ええ、確かにそう聞こえました」と返事が返ってきた。

言葉が示すとおり、その後の翔の行動は「したくない!」であった。


しかし、それ以降、翔が言葉を発する事は無かった。

あれは、偶然だったのだろうか? 空耳だったのだろうか?