<保育園>
翔は我々両親や祖父母,先生など、
大人の人に対してははっきりとした反応を示すし、
何かを伝えようとしたりするためにアクションを起こす。
しかし、同年代の子に対してはコミュニケーションを避けようとする。
視線を合わせなかったり、そっぽを向いたり、
所謂、『無視』をするのだ。
この事は川地は以前から気づいていて、心配していた。
どうしてそんなことをするのか理由も良く分かっていない。
考えられる一番の理由は、我々大人と違い、
アクションを起こしても分かってもらえなかったり、
動きが速くて、翔には付いていけないのだろうと思われる。
そんな翔だが、何故か同じクラスの女の子には人気者だ。
いろいろなことが出来ない事が赤ちゃんの様で、
母性本能をくすぐるのだろう。
それでも、この間の保育参観の時には、
話しかけてきた男の子を見て、何か反応を示し、
声を発している場面もあったのは、驚きだった。
今日も帰り際、クラスの女の子の一人が
「さようなら!」を言いに来て、見えるように近くで手を振った。
翔は相変わらず見ないふりをしていた。
そこで、
「翔君は速く動けないから、少しだけ待ってあげてくれる?」
こう女の子に説明して、見本を見せてあげた。
翔の顔の少し上あたりに、ハイ・タッチの要領で片手をかざす。
少し待つと翔はその手に合わせるように手を上げる。
これが翔流の「さようなら」なのである。
女の子は直ぐに要領をのみこみ、
私と同じ様にハイタッチの姿勢をした。
すると、それまで女の子を見向きもしていなかった
翔がちょっと照れた様な表情を浮かべて、
手を上げて合わせたのである。
やはり、翔は子供達の速い動きに付いていけず、
諦めていたのかもしれない。
女の子は、「本当だ! 翔君、バイバイ!!」
そう言って、お母さんのもとへ走り去って行った。
翔はしばらく何か言っていた。
「ちゃんと挨拶できたよ!」そう言っていたのだろう。
(o^∀^o) ハウア, ハ~ア, ウ~ア (^0^o)♪♪