UFO | 見えない翼

見えない翼

私達は誰もが夢に向って翔る“見えない翼”を持っています。しかし、多くの人々が夢を追う事を諦め、翔る事をいつしか忘れて・・・。
そんな世の中にあって、パラグライダーの世界一へ挑戦し続ける父と重度の障害を持ちながらも懸命に生きようとする息子の奮闘日記です。

<療育施設->療育センター>

午前は音楽療法だった。

いつものように、音楽に合わせて、踊ったり、楽器を弾いたり、遊んだり。

翔は終始ご機嫌だった。


自宅に帰って、ゆっくりと昼食を取り、

その後お昼寝をさせようとすると、電話が鳴った。


「“UFO”の試乗会は今日なんですが、いつ頃おみえになりますか?」


「???」 Σ( ̄◇ ̄;)


「歩行器の試乗ですね。今日でしたかっ!」 アタフタ ((´´゚゚д゚゚``)) アタフタ


「随分以前(2ヶ月前)に決めたので、すっかり忘れていました。」

「4時頃になっちゃいますが、大丈夫ですか?間に合いますか?」

「大丈夫ですよ! お待ちしています。」


てな訳で、急いで療育センターに向かった。

翔はその途中で寝るだろうと思ったが、

進化した翔は寝る所かますますハイテンションになって大騒ぎだ。


さて、センターに到着して、“UFO”を早速試乗した。

翔はとてもお気に召したようだ。

いつもより足取りも軽く、施設内を端から端まで行ったり来たりしている。

何よりもまして、翔がとても嬉しそうな良い顔をしているのだ。

こんな楽しそうに、歩行訓練をしている翔を見たのは初めてだ。


それとは裏腹に、診断した医師の顔は曇っていた。

歩行時の翔の足がクロスしてしまうことや

寄りかかったような姿勢が気になるらしい。

両足の間で自転車のサドルのようなものが座席にれば

クロスしなくて良いのだが・・・。


ただでさえ高くて、助成金をオーバーしてしまうのに

改造することになれば、さらに費用がかさむ事になってしまう。

結局、どうするのか保留のまま、とりあえず見積もりを書いて頂く事になった。


翔はそれ以降も一回も寝ることなく、夜まではしゃぎ続けていた。

「大丈夫か?翔! 少し寝たほうが良いぞ」  (?^∀^)

「ハッブー、ハッブ~!(全然、大丈夫だよ!)」      (^0^o)ハ♪♪


(ΘoΘ) z z z・・・・


「おい、翔、意識飛んでるぞ!」  (#゚д゚)ノ

「ケラケラ、ハッハッ、フンガァ~(へっ、何のこと、ご飯ちょうだい!!)」 ヾ(゚▽゚*)ノ ♪


何と、最後ベッドに入るまで気力で起きていた。