翔の進歩、食事編 | 見えない翼

見えない翼

私達は誰もが夢に向って翔る“見えない翼”を持っています。しかし、多くの人々が夢を追う事を諦め、翔る事をいつしか忘れて・・・。
そんな世の中にあって、パラグライダーの世界一へ挑戦し続ける父と重度の障害を持ちながらも懸命に生きようとする息子の奮闘日記です。

<保育園>

昨日、療育施設でPT(機能訓練)の先生に有った。翔のよだれが止まらない理由の一つとして、唇がしっかりと閉じる事が少ない事が考えられるそうだ。そして、そのトレーニングになるのが実は食事の時にあるらしい。

我々がカレーライスを食べる時を思い浮かべてみてください。スプーンに乗せたカレーライスを口の入り口に入れると、唇を閉じてゆっくりとスプーンを抜き出すはずです。特に上唇は、上から下に降ろすという大きなアクションが伴うはずです。


ところが、翔は口を開けたままなのです。まるで餌を待つひな鳥のように放り込まれるまで、ただひたすら待ち続けます。私はといえば、時間の制約やぐずりだす前に食べさせようと慌てて、まるで蒸気機関車の釜に石炭を放り込むように、開いた口にドンドン食べ物を送り込んでいたのでした。そうです。よだれが止まらない原因を知らず知らずの内に親が作っていたのです。


驚いたのはそれだけではありません。これではいけないとスプーンを口の入り口で止めて、翔の上唇が降りて来るのを待つことにしました。そして、下がりきってから抜き出す事にしました。初めの内は、何で放り込んでくれないのだろうと、口を開けたまま目線で訴えていましたが、その内、このままでは入ってこないし、お腹も空いて我慢できないので、上唇を閉じるようになりました。そして、サプライズなのはその順応性が非常に高かった事です。最初こそ上唇が降り切るまでに5秒近く掛かっていたものが、食事を終える頃には1~2秒に短縮されていました。そして、今日の保育園では、帰り際に「お口はチャンと閉じますよ!?」と先生に言われてしまった。家で食事をすると確かに!! (・o・)!


これまでいろいろな事を教えてきましたが、覚えるまでに非常に時間がかかり、未だにできないこともありますが、自分にとって大事な事はこんなにも飲込みが早いのかと驚かされました。と同時に、翔の可能性に知らなかったとは言え親が蓋をしてしまっていたのだと反省させられました。


フライティング・スクール(ドライビング・スクールのようなもの)である川地塾でも、己自信で自分の能力を抑制してしまっている方が大勢居ます。この方々の能力を引き出すことが私の役目であると再認識しました。