ハチロクの血脈(3)~最後のFR | ディープ「D」の世界

ハチロクの血脈(3)~最後のFR

今回は相当“深め”ネタです。

86mono

ハチロクの歴史的価値ってやっぱりレビン・トレノ史上、最後のFRってことだと思います。(一応いいますと、FR=フロントエンジン・リアドライブ、FF=フロントエンジン・フロントドライブです。)

80年代の話なんで、私もよく覚えてますが世界的にFF化の潮流が巻き起こった時代でした。なんせ世界のスタンダード、フォルクスワーゲン・ゴルフがFFで成功してた。日本でもホンダ・シビックが人気をさらい、ニッサン・サニーがFF化されて結構これも売れてたんです。

トヨタはどっちかっていうとFF化には懐疑的なメーカーにみえましたね。第一、カローラ自体はFRで売れてたわけですから。

FFの利点は居住空間を広くとれること。直進安定性。ただし、前輪駆動特有のトルクステアとか抑えるためにそれなりの技術開発が必要で、重量配分やサスペンションの問題もあった。


試しに、ターセル/コルサっていういっこ下のランクでFFをやってみた。しかも縦置きエンジンという相当かわったやり方(アウディがそうですが)で。御大トヨタも相当、思い余ってたかんじです。


世界的なトレンドを無視できなくなったトヨタが“本命”のカローラをFF化したのは1983年のこと、5代目カローラでした。CMソングは郷ひろみでしたね「素敵にNEWカローラ」。前部に駆動系と操作系を集めたとは思えない、強烈にスラントした薄いノーズが印象的な若々しい雰囲気の車でした。


本来、カローラ、スプリンターの派生バージョンであるレビン・トレノも普通だったらFF化されてしかるべきなのに、ここがトヨタのえらいというか慎重なところで、レビン・トレノはそのままFRで残した。つまり、ハチロクは最後のFRであるとともに、最初の単一車種「レビン・トレノ」であったわけです。


このトヨタの選択は工場のラインの問題とか・設備投資の問題とかあった末の結論だと思いますが、20年あまりたった現在でも、BMWやメルセデス、スカイラインなど走りをウリにする車たちがFRレイアウトを堅持していることからみても、また何よりハチロクで車の楽しさに目覚めた人のあまりの多さを考えても、“自動車史上に残る”英断だったと思います。

時代の変わり目で生み出されたが故に、ハチロクはこだわりを感じさせるエポックな車になったのです。

(続く)