「プリーズミスターポストマン」という曲があります。ビートルズがカバーして有名になりましたが、もともとはアメリカの「マーヴェレッツ」というグループが1961年に作った曲だそうです。
私は中2の頃、カーペンターズのカバーで初めて聴きました。いたく感動し、小学校の頃から切手収集が趣味で文通をしていた、同い年の群馬県の男の子に、その「プリーズミスターポストマン」の曲をプレゼントしました。違法だとは思いますが、LPレコードからカセットレコーダーでダビングして、そのカセットを送ったのです。曲の前には、自分の声もメッセージとして入れて送ったのを憶えています。
その子も「プリーズミスターポストマン」におそらく感激したのでしょう。その後カーペンターズからビートルズを知り、エレキギターに惹かれていきました。芸術センスが豊かで、詩を書き、絵を描いた。その中に「プリーズミスターポストマン」と名付けた絵もあったのです。
1977年の夏、私は不思議な体験をしました。家が薬局で、店舗の2階に私の部屋があったのですが、ある日の夕方どこからかそれまで見たこともない大きなトンボ(オニヤンマ?)が飛んできて、私の肩にとまりました。羽根をつかみ、窓を開けてそのトンボは逃がしてやったのですが、その夜、今度は廊下で足音がして、私の部屋のドアを誰かがノックしたのです。そのとき、私は動けませんでした。翌朝、母に訊いてもだれも2階に上がっていないという話でした。
それから半月ほど経ち、夏休みが終わった頃、一通の手紙が来ました。それは群馬の文通友達の友人で、その手紙には、私と文通していた子が亡くなったと書かれていました。亡くなったのが、ちょうどそのトンボがやってきた日だったのです。
その子が亡くなったあと、部屋からたくさんの詩や絵が発見され、のちにその詩や絵は多くの人に大変な感動を与えることになったのです。
その男の子とは、「山田かまち」。
私が「プリーズミスターポストマン」を教えなかったら、彼は別の人生を歩んでいたかも知れません。
この夏は、彼の没後35年でした。夏になると、いつも思い出してしまうことを、綴ってみました。