先天性風疹症候群問題は解決したものの、依然として定期的な出血は止まらない。
出血が治まり退院できるかと思えば退院予定日の前日に再度出血で退院延期。
こんなことを三度も四度も繰り返すうち、奥さまが精神的に参ってきてしまっていた。

必要最低限の動きしか許されない寝たきり状態。
やれることも制限され退屈な毎日。
かといって状況が状況だけに友人へも伝えられず、外部との連絡もままならない。
そして何より、毎日の心拍確認で赤ちゃんの安否を確認するたび、ビクつかなくてはならない不安な日々。
それでも時折弱気は見せるものの赤ちゃんのために不満ひとつ言わない奥さまの姿に心を痛めた。


そんな状態で20週を迎えた頃、夜中寝てる間に水っぽいおりものが出たと、奥さまから朝イチの連絡。
それって破水しちゃったってこと?奥さまに聞いてみるも、夜中のことだっただけに詳しいことは奥さまも伝えられておらず、医師からの話を待つしかないという。


早速ネットで調べた。
破水は「おしるし」として陣痛の兆候として起きるらしい。
ひとつわかったこと、それは破水が妊娠中期、特に妊娠20週前後で起きてしまうと非常にマズイらしいということ(前期破水という)。
もし今朝の水っぽいおりものが破水だったならば、赤ちゃんが助かる見込みはほとんどないように思えた。
どれだけ調べてもポジティブな記述は見当たらない、最悪の事態を予想させるものばかり。
このときばかりは最悪の事態を覚悟した。


だが、その後届いた奥さまからの連絡は絶望的な雰囲気のものではなかった。
これまでと変わらず絶対安静で経過を見ましょうとのこと。
破水ではないのか?破水ということではないらしい。
けど羊水は漏れてしまっているらしい。
よくわからない。
ただ、出血→感染→炎症→破水というコンボの可能性が高くなり、
これまで以上にシビアな状況なのは間違いなかった。



ここでちょっと話はそれて重要人物Mくんの登場。
Mくんは高校の同級生で親父さんが某大学病院で働くお医者さん。
学生の当時からカラダに何か心配ごとができるとMくんに相談して親父さんに聞いてもらっていた。
破水疑惑の連絡を受けてから気になってその大学病院のHPを見てみると、前期破水の処置実績があることがわかった。


早速、Mくんに連絡。
まかせろ、とMくん。
親父さん経由で産婦人科の先生へ連絡をとってもらえることになり、
なんど直接その先生がY病院へ確認してもらえるとのこと(本当にありがたい!)。


Mくんから伝え聞いたところによると、Y病院の処置は適切なもので
おそらく大学病院でも同じ処置になるだろうとのこと。
ただ、もし心配であれば大学病院へ転院することも可能だがどうする?という話になった。
奥さまと家族会議。

奥さまは転院に気がすすまないようだった。
当時はふたりともそこまで悪い状態だとは認識しておらず、早く長い入院生活から抜け出したいという一心で、転院というのは極端に退院の可能性が狭まってしまうかのように思えたのは確か。
また、最寄りの駅から遠い都内の病院へ移るのは感覚的に寂しさが増したようだ。

するとY病院からの説明。
もしこのまま退院ができないような危うい状況が早産となる22週まで続いてしまった場合には
どのみちNICUのある病院へ転院してもらうことになりますとのこと。
だったら退院の可能性にかけ、22週まではこのままY病院でお世話になろうということになった。



しかし、結果的には退院できないまま22週目を迎えてしまう。。。

その5へつづく。
先天性風疹症候群の疑いが判明したものの、Y病院は「大丈夫」という。
その根拠は以下のようなもの。

風疹抗体価は一定期間を空けて2度測定した。
ひとまず値の高さはおいておき、値の増減推移が重要とのこと。

・低い→高いという推移の場合
 風疹にかかると抗体が一気に増加するのでかかった直後の可能性が高い
・高い→低いという推移の場合
 風疹にかかってから症状が落ち着くと抗体の数が減ってくるので、
 やはり近い時期に風疹にかかった可能性が高い

一方、奥さまのケースは値は高かったものの一定期間後も増減はなかったため、
大丈夫だろうというのがY病院の見解。

ただ、気になるのであれば全国に10箇所ほどある専門医のいる病院を紹介してくれるとのこと。
やはりどうしても気になるため、専門医のいる三井記念病院を紹介してもらうことになった。
完全予約制ということで3月3日に診療予約。
その日を待つことに。



三井記念病院の診察を翌日に控えた3月2日早朝。
これまでにないほど多量の出血。
朝一番でY病院へ電話。
すぐに病院へ来なさいとのこと。


診察の結果、診断は切迫流産。
赤ちゃんの心拍は確認できたため一安心も絶対安静が必要なためそのまま入院。
この日から長い入院生活がはじまってしまう。。。


入院してしまったことで三井記念病院へ行けなくなってしまった。
とりあえず出血が治まることに期待し、1週間後に再予約。

しかし出血が治まったと思ったら、再予約の前日に再度出血。
また1週間後に再予約するも、その前日に再度出血。
そんなこんなで3度予約をキャンセルするはめに。

法律で堕胎が認められているのは妊娠22週まで。
いかんせん時間がない。
出血が止まらず予約キャンセルしている間にも刻一刻と時間が過ぎていく。

そんな状況を見かねたY病院はこれまでにY病院では行ったことのない「avidity index」という検査を行ってくれた。
この「avidity index」という検査方法は最近になって有用性がわかってきた最新医療らしい。



この検査の結果、おそらく先天性風疹症候群の心配はないだろうとの判断。
これでやっと先天性風疹症候群疑惑との戦いに終止符を打てた・・・。


この先天性風疹症候群に関しては本当にいろいろネットで調べた。
あくまで素人なので確かなことは言えないが、
検査結果に疑いがあっても検査自体がそこまで確かなものではないらしい。
どうやらIgMなどは「陰性であれば問題ない。だが陽性でも感染しているとは限らない(疑陽性)」
というケースがあることがわかっており、奥さまは疑陽性だったのだと思われる。


こうして先天性風疹症候群からの呪縛から開放されたのも束の間、
依然として切迫流産(出血)という状況は変わらない。
結果としてはこちらの問題の方が大事であったことが後に判明する。



その4へつづく。


2010年1月(8w~11w)、ポリープが原因と思われる出血にビクビクしつつも、
結果としては大きな問題がなく時が過ぎた。

順調なまま2月に突入。
それまで診てもらっていたクリニックは分娩ができないため、
近所の産婦人科Y病院へ紹介状を書いてもらう。

このY病院、年間の分娩数が2000を超える地域ではかなり有名な産婦人科。
そこらに住み始めた頃からウワサに聞いて知っていたくらいなので安心して任せることにした。


病院が変わったため再度血液検査。
そこで風疹抗体の値が基準値より大きいことが判明。
先天性風疹症候群の疑いアリとのこと。
この先天性風疹症候群に苦しめられることになる・・・。


ここで先天性風疹症候群の簡単な説明。
妊娠中に妊婦さんが風疹にかかってしまった場合、
羊水を伝って風疹ウィルスがお腹の中の胎児に感染してしまうことがある。
胎児が感染してしまうとほぼ100%に近い確率で「心臓病」「難聴」「白内障」などの障害が
少なくともひとつ、場合によっては複数まとめて出てしまうという恐ろしい病気。

ここで重要となるのが「妊婦が風疹にかかった時期」。
妊娠初期であるほど胎児への感染確率が高まり(100%ではない)、
また感染後の障害も重くなってしまうとのこと。


話は戻って風疹抗体価の話。
一番良い結果は「ある程度抗体を持っている状態」。
抗体を全く持っていないとその後の感染の可能性が高まるため、
全く持っていないより程々持っているのが望ましい。
小さい頃に風疹にかかったことがある、
もしくは予防接種を受けていれば「程々の」抗体を持っている可能性が高くて安心。


一方、抗体の値は高すぎてはいけない。
それはすなわち「ここ最近風疹に感染した可能性がある」ということ。
奥さまはそのような検査結果が出てしまったのです。


ただし抗体の値が高くても、昔の予防接種の抗体がそのまま残っていたりすることがあるらしい。
そこですぐに再検査。
ここで気になるのが「昔に予防接種をしていたのか?」という点。
ネットで調べてみるとわかったことが
「79年3月生まれ」までは予防接種が義務付けられていたが
「79年4月生まれ以降」は任意になってしまっていたということ。
(少し前からまた任意ではなく、義務になっているようです)

奥さまは79年7月生まれ。予防接種は義務ではない。
不安が募る。
が、奥さまは予防接種を受けていたことがわかった(母子手帳に記録が残っていた)。
じゃあその影響だろう、ふ~、一安心、
・・・・と思いきや、再検査でもひっかかってしまった。


抗体の値が怪しい場合、今度はIgMという値を調べることになる。
こっちが陰性であれば問題ないとされる。
が、こっちも結果は陽性。。。。

抗体の値、IgM検査、どちらもひっかかってしまうと
人工中絶してしまうケースがほとんどらしい。
それだけ先天性風疹症候群は恐ろしく、またそのリスクは高い。
(ちなみにどちらもひっかかるケースはY病院では年間2000人診て2,3人らしい。
つまり1000人に1人という確率。)


この再検査やなんやらのやりとりで2月が過ぎた。
安定期に入る3月になれば周囲の人に妊娠を報告できると喜んでいた二人の思いとは裏腹に
それどころか場合によっては堕胎を検討しなくてはならないというシンドイ状況。



しかも追い打ちをかけるように切迫流産が清水家を襲う。


その3につづく。










2009年12月、奥さま(30さい)が妊娠した。
奥さまは毎朝基礎体温を測っているので結構早い段階で妊娠発覚。
まずは妊娠検査薬で陽性確認後、何度かお世話になったことのあるクリニックで妊娠が確定。
このときまだ妊娠5週。
次の検診で心拍が確認できるかどうか、それがはじめのヤマでした。


2週間後、検診の前日に出血。
奥さまは完全にテンパってしまった。

長い付き合いの中でもこれほど取り乱したことはなく、
ひとりにしてしまったら良からぬことを考えてしまうのではないかと本気で心配したほど。
ネットで調べてみると、出血と言ってもいろいろなケースがあり
必ずしも最悪の事態ばかりではないと説明しても聞く耳持たず。


検診当日、ひとりにしてはマズイと思い、クリニックへ一緒に行くと言っても
「ひとりでいく。こないで。」の一点張り。
ひとりで家を出ていってしまった。
無理やりあとをついていったものの、本気で拒絶されてしまったため
仕方なくクリニックの最寄駅でお茶して待つことに。


結論から言えば、そのときの出血は子宮外側のポリープが炎症したもので
とりあえずは赤ちゃんに影響ないことがわかりました。
心拍も確認でき大きな一安心。


ポリープに関して言えば、取ろうとすれば逆に流産のリスクがあるため
とりあえず様子を見ましょうとのこと。
今考えればポリープによる出血などカワイイものでした。
まさか現在に至るまで出血に振り回されることになろうとは・・・。



その2へつづく。