尊敬する上司と人間の『死』について話した。
彼の父は昨年の今日、突然入院先の病院で亡くなったらしく、静かに話すその眼はどこか儚げなかった。
『会える時に多くの人と会った方が良い。もう会えない、と感じた時ほど後悔することは無いから』
そう笑って言える彼は強いな。
まぁ、そんな方からの誘いだったから今の会社で働いているんだけどね。
悲しみに慣れてしまう術を身につけられない2010年の秋。
五年経つのにまだあの後悔は消えない。
夕方、社用車のラジオからアイツが好きだった曲が流れてきた。
いつも、いつもあの小さな六畳一間の部屋で歌っていた曲。
数分前まで曇っていた空からゆっくりと注ぎはじめた西陽があまりにもキレイで眩しくて、車を停め眼を閉じると、10月6日のあの時の光景がはっきりと瞼に映し出されて涙が溢れてきた。
-陽はまたのぼり繰り返していく
僕らの上を通りすぎていく
生き急ぐとしてもかまわない
飛べるのに飛ばないよりはいい
康介、お前には今の俺がどう映って見えるんだ?
まっきいは酒が強くなったよ。
ひらばやしは一人暮らしを始めた。
かねこは相変わらず忙しそうだ。
はかせなんて結婚したんだぜ?
やっちんはこれからの事で大変そう。
はしづめはちょっと落ち込んでる。
さとみには彼氏が出来て幸せそうだった。
はるちゃんは沖縄に行くかもってさ。
お前が大好きだった友達は皆元気だよ。
お前はどうだ?
最後に聞いた電話口での震えた声で言った言葉が今日は耳元でずっと囁く。
『ゴメンな』って耳元でずっと囁く。
こっちのセリフだよ。
あの時、会いに行けなくて『ゴメンな』
仕事だからって言い訳して、バイクでたった10分の距離を避けて『ゴメンな』
お前が残した大切な人を守れなくて『ゴメンな』
もう会えないのは解ってる、
もう届かないのも解ってる、
『お前の書くことは暗い』って言われても、
他人に後ろから指さされて陰口言われても、
こうして言葉に書いて俺の中にお前を残したいんだ。
いつかの冬の日、2人で雪の中を歩いて裏の小学校の校庭に落書きをしたように。
聞こえてるか?
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