吉凶禍福は相対のもの
翁のことばに、吉凶・禍福・苦楽・憂歓などは、相対するものである。なぜかといえば、ねこがねずみをとったときは楽しみの極だが、捕えられたねずみは苦しみの極だ。へびの喜びが極まるときはかえるの苦しみが極まり、たかの喜びが極まるときはすずめの苦しみが極まる。猟師の楽は鳥獣の苦、漁師の楽は魚のの苦だ。世の中のことはみんなこのとおりで、こちらで勝って喜べば、あちらは負けて悲しむ。こちらが田地を買って喜べば、あちらは田地を売って悲しむ。こちらは利益を得て喜べば、あちらで利益を失って悲しむ。人間世界はみんなこのありさまで、たまたま悟りの門に入る者があれば、これをきらって山林に隠れて、世をのがれて世を捨ててしまう。・・・・・・・・略・・・・・・・・・。
引用 訳注二宮翁夜話 福住正兄原著 佐々井典比古訳注より