困ったことになってきた。生活苦を予感させる値上げラッシュの足音が聞こえ始めたのだ。
25日、コーヒー販売大手のUCC上島珈琲が、家庭用レギュラーコーヒーを20%値上げすると発表した。キーコーヒーや味の素ゼネラルフーヅも、実質値上げを決めている。
何しろコーヒー豆相場は、過去1年間で1.7倍にハネ上がった。原料コストの急騰にメーカーが悲鳴を上げたのだ。
だがコーヒーの値上げは手始めに過ぎない。これから先、食料品や身の回り品など生活必需品の値上げが相次ぐことになりそうだ。
「資源高、食料高が日本経済の最大のリスク要因になってきました。資源のほとんどを輸入に頼る日本へのダメージは計り知れません」(第一生命経済研究所の桂畑誠治主任エコノミスト)
世界的な異常気象の影響で、昨年秋ごろから資源高、食料高が続いている。トウモロコシ、小麦、砂糖などが軒並み急騰し、国際的な取引価格は昨年春に比べ1.5倍以上。
砂糖の卸値(メーカーからの出荷価格)はすでに4~5%値上がりし、小売価格も上昇しつつある。大豆を原料にする食用油も昨年春より15%高。メーカー各社は、飲食店向けの食用油を値上げする方針だ。
鳥インフルの影響が避けられない鶏卵価格も、前年の155円が185円に値上がりしている(1月20日時点、全農東京市場、Mサイズ)。
「コーヒーもそうですが、食料高の根底には中国の旺盛な需要があります。そこに目をつけた世界の投機マネーが、さらなる値上がりを期待して資金を流入させる。その結果、一段と価格が高騰していくという構図です」(桂畑誠治氏)
●生鮮食品も17%アップした
となると、食料高は解消されないどころか、まだまだ値上がりを続ける可能性が高い。そこに生鮮品の高騰が重なるから、庶民はアップアップだ。
昨年12月下旬に総務省がまとめた全国消費者物価指数(11月分)にはガク然とする。東京都区部の店頭価格(前年同月比)は、ゆでうどん3.8%高、アジ13.5%高、キャベツ142.2%高、トマト47.4%高……生鮮食品全体では17.9%高だった。
資源高の影響もジワリと効いてきた。ペットボトルの原料になる樹脂は今月下旬から15%アップ、弁当や総菜類の透明なフタに使われる食品包装シートは2~3%の値上げ。こうした材料の値上げが積み重なり、最後はコンビニ弁当やスーパーの総菜の価格が上昇していくのだ。
ガソリン価格の値上がりも不気味。石油情報センターの統計によると、11月22日の1リットル=132.2円から上昇が続き、1月17日は137.1円をつけている。
この先、必ずやってくるであろう値上げラッシュで、庶民生活はパニックだ。こうした状況下で法人税減税、個人増税が断行されようとしている。そして消費税アップ……。泣かされるのはいつも国民だ。
