総務省が28日発表した2010年平均の完全失業率は5.1%と前年同水準で、IT(情報技術)バブル崩壊後の02年(5.4%)、03年(5.3%)に次ぎ、過去3番目の高さとなった。また、厚生労働省が同日発表した10年平均の有効求人倍率は0.52倍。最悪を記録した前年から0.05ポイント改善したが、過去3番目に悪い水準だった。
完全失業率は働く意欲がある15歳以上の人の中で、職がなく求職活動をしている人の割合。同時に発表された10年12月の失業率(季節調整値)は4.9%と前月比0.2ポイント改善した。改善は3カ月ぶりで、4%台に低下したのは2月(4.9%)以来。
有効求人倍率は求職者1人当たり企業から平均何件の求人があるかを表す。12月の同倍率(同)は前月と同じ0.57倍だった。
08年のリーマン・ショック後の不況を受け、失業率は09年7月に月間で最悪の5.6%を記録。雇用情勢はその後、最悪期こそ脱したが、10年の月間の失業率は年間を通して5%前後に高止まりした。
厚労省は12月の失業率などの改善を受けて、雇用失業情勢の判断を「持ち直しの動きが広がりつつあるが、依然として厳しい状況」に上方修正した。上方修正は1月以来。ただ、同省は「新規求人数はリーマン・ショック前の水準に戻っておらず、改善の勢いに欠ける」として、今後の情勢を引き続き注視する考え。
