そこは大勢の人で賑わっている。
端から端まで歩けば、何でも一通りそろえることができる。
・・・しかし、何か違和感を覚える。
どの店も外観が統一されているからだろうか。
見た目は悪くない。
とても綺麗で、瀟洒な造りだ。
でも、5分も歩けば先ほど見たのと同じような店に出くわす。
売っているものも同じ気がする。
店員ですら同じ顔に見えて仕方ない。

このあたり一帯は、最近になって開発された地域だ。
もしかすると、外観に関して条例があるのかもしれない。
それにしても、どの店もいまいちパッとしない。
なぜだろう。
どの店に入っても、店員は同じことしか言わない。
「いらっしゃいませ。こちらの商品は最近入荷したばかりのものでして…」
「いらっしゃいませ。あちらの商品はつい先日発売されたばかりのものでして…」
まるでRPGの世界だ。
マニュアルがあるんだろうか。
外観だけではなく、店内の造りもどこかしら似ている。
ただ単に配置が逆なだけ、という店も多い。
確かに何でもそろう。
でも・・・そう、個性がない。
売上に差が出ないようにする配慮?
いや、それじゃあ商売にならない。
なんだか気味が悪い。
この街にいるのは、ヒトなんだろうか。
そんな疑問すらわいてくる。
はっきりとした答えが得られないことほど、気味の悪いものはない。
僕は足早にその街を後にした。
ゆったりとくつろいで買い物ができる雰囲気じゃない。
二度とこの街で買い物をしないだろう。
足を踏み入れる気にもなれない。
顔なじみのおばちゃんがレジにいるスーパーで、
近所の人と世間話をしながら買い物をするほうがよほど性に合っている。
僕らは血が通っていて、感情のある人間なんだから。
君は、どお?