ここで紹介する「MBTI (Myers-Briggs Type Indicator)」は、フロイトと並び賞 される心理学者 C.G.ユングが提唱した「心理学的タイプ論(Psychological Type)」を基に、 1962 年に米国人のキャサリン・クック・ブリッグス( Katharine C. Briggs) とその娘イザベ ル・ブリッグス・マイヤーズ( Isabel B. Myers)によって開発されました。以後半世紀近くに 亘って研究が重ねられ、現在全世界でもっとも利用されている性格検査法です。

MBTI は、イギリス、フランス、カナダ、スペイン、ドイツ、ベルギー、オランダ、ス ウェーデン、ギリシャ、インド、韓国、中国など、24カ国語に翻訳され、現在では45カ 国以上で利用されています。 全世界で500 万人以上が利用し、アメリカでは 300 万人以 上が、特に大学生は必ずといっていいぐらい受けているテストで、CIA や米軍でも採用さ れています。

 

MBTI は、日々の暮らしの中で無意識のうちに働く心のパターンや習慣を、本人が理解し、 自己洞察を深め、自身の強みや弱点などの特徴を知り、成長の指針を得るためのツールで す。その人それぞれの今後の課題を整理し、人との違いを理解し、周囲の人との人間関係 作りにも非常に有効な手段です。

 

MBTI は今や日本でも、臨床カウンセリング、キャリアカウンセリング、コンサルティン グ、教育現場などさまざまな場面で活用されている。MBTI は、人の多様性を、物の見方や 判断のしかたのパターンでとらえ、一人ひとりの強みや動機、対人関係スタイルを気づか せてくれます。

皆さんも、この MBTI で自分のタイプを知り、勉強や仕事を始め日常のさまざまな場面 で活用し、大きな成長と飛躍の足がかりとしてください。

 

= 目 次 =

1.MBTI とタイプ A.心のよりどころ(外向型/E or内向型/I) B.物事の捉え方(感覚型/S or 直感型/N) C.判断の基準(思考型/T or 情緒型/F) D.日常生活の指針(規範型/J or柔軟型/P)

2.MBTI の16のタイプ タイプを用いる時の注意点 各タイプの割合

3.MBTI と16のタイプ ISTJ[内向・感覚・思考・決断] ISFJ[内向・感覚・情緒・決断] ESTJ[外向・感覚・思考・決断] ESFJ[外向・感覚・情緒・決断]

INFJ[内向・直観・情緒・決断]

INFP[内向・直観・情緒・柔軟] ENFP[外向・直観・情緒・柔軟]

ENFJ[外向・直観・情緒・決断]

INTP[内向・直観・思考・柔軟] INTJ[内向・直観・思考・決断] ENTP[外向・直観・思考・柔軟] ENTJ[外向・直観・思考・決断]

ISTP[内向・感覚・思考・柔軟] ISFP[内向・感覚・情緒・柔軟] ESTP[外向・感覚・思考・柔軟] ESFP[外向・感覚・情緒・柔軟]

 

1.MBTI とタイプ

MBTI では、「心のよりどころ」「物事の捉え方」及び「判断の基準」と「日常生活の指針」 という4つの側面から、人間の性格を16のタイプに類型化して、それぞれの特徴を考察 しています。

4つの側面を2つの資質に大別して、自分はそのどちらに当てはまるのか決めて行くと、 最終的に 16 のタイプのいずれかに分類されることになります。途中、対比される2つの 要素の両方ともに当てはまってしまって、決めかねることもあるかと思います。その場合 は、どちらがより自分にとって自然であるか、好ましいかということを基準に決めてくだ さい。ちょうど、利き手を思い浮かべてもらえばいいと思います。私たちは普段左右両方 の手を動かしていろいろなことをしていますが、字を書いたりお箸を持ったりする場合に は、左右どちらか、ちょっとだけ使いやすい方の手を用います。その感じで、どちらか決 めていただければと思います。

では早速、簡単なテストをしていただきましょう。2つの回答のうちの1つを選んで、 その前のアルファベットをメモしてください。今後、この赤字で表示されたアルファベッ トの頭文字は、MBTI のあなたのタイプを示す指標になります。

 

** MBTI 簡易テスト **

1)あなたが元気になるのは E:周りに人がいるとき I:一人で過ごすとき

2)あなたは、 S:事実を重視し、細かい点にも気をつけて物事をとらえます N:まず、物事の全体像や大枠から捉えようとします

3)あなたは、 T:客観的にものごとを考え、結論を出します F:自分や他人の感情を考慮して、結論を出します

4)あなたは、 J:予定を立て、規則正しい生活を送っています P:アクシデントやハプニングに備えて、予定は柔軟に考える

今、メモしたアルファベットについてはしばらく置くとして、まずはこのテストで問わ れた4つの側面について詳しく見て行きましょう。内容に目を通した後、今選んだアルフ ァベットに変更があれば修正してください。

 

A.心のよりどころ(外向型/E or 内向型/I)

皆さんが落ち込んだときには、 誰かと一緒にあるいは人の中で過ごしますか?それとも、 独りで過ごしますか?

何かを選ぶとき、たとえば身近な例で服を買う場合など、流行やブランドなどを意識し ますか?それとも、あくまで自分の好みで選びますか?

何かを決断したり、そのためにいろいろな側面を考慮するには、たいへんな精神的エネ ルギーを必要とします。また、気持ちが落ち込んだり疲れているときには、失われた精神 的エネルギーを何処かから補わなくてはなりません。このような場面で、心のよりどころ をどこに求めるかが、MBTI の第一番目の要素となります。

心のよりどころを、他の人との交流活動、世の中の風潮や流行など“自分の外”に求め る人を「外向型(Extraversion)」。 反対に、 “自分の内面”に精神的なエネルギーの源を求 める人を「内向型(Introversion)」と定義します。

ここで言う“外向”“内向”は、私たちが普段使っている意味とは少し違っています。外 向的というと、明るくて活発、社交的で人見知りしない性格のことでしょう。MBTI の「外 向型」の特徴と重なる部分もあります。しかし、MBTI の外向・内向の定義は、性格や行動 に表れた特徴ではなく、あくまで自分の心の外と内のどちらに重きを置いているかという 点なのです。ですから、外向的と言われる人が MBTI では「内向型」と判定される場合も あるのです。

これだけですと、まだ分かり難いと思いますので、「外向型(Extraversion)」「 内向型 (Introversion)」それぞれの特徴をあげてみましょう。

「外向型(Extraversion)」に多くみられる特徴 ・自分の周囲、世間で起きていることに関心が高い ・ “話すこと”によるコミュニケーションをより好む ・行動や人との関わりを通して学ぶ ・対人関係や興味は“広く浅く” ・人と意見を交わしながら考え、アイディアをまとめていくことが多い。 ・人との交流を好み、積極的に自分のことを相手に伝える ・周囲の人や出来事に関わることにこだわりが無い

「内向型(Introversion)」に多く見られる特徴 ・自分の内面を重視し、内面の変化に敏感 ・ “書くこと”によるコミュニケーションをより好む ・内省したり、内面的葛藤を通じて学ぶ。 ・対人関係や興味は、選りすぐって深く ・考えをまとめてから話すことが多い。 ・一人でいることを苦にせず、自分の個人的なことはあまり人に言わない ・今していることに集中して取り組んでいく

いかがですか?あなたはEでしたか、それとも I でしたか?頭文字をメモしておくこと を忘れないでくださいネ。

では、同じように他の要素をみて行きましょう。

 

B.物事の捉え方(感覚型/S or 直感型/N)

皆さんは日常生活の中でさまざまな出来事や状況に直面しています。それらが、自分に とってどのような影響を持つことなのかをその都度考えなくてはなりません。それには、 事態や状況を観察し、分析して情報を集める必要があります。この指標は、皆さんがそう した心理的な作業の過程で、どの点に重きを置いているかを示すものです。

物事を考えるに当たって、今の状況や具体的なディテールにこだわったり、step-by-step で順を追って考えを積み上げて行くプロセスを大事にする人は、自分の知覚できる事実・ 現実を重視する「感覚型(Sensing)」です。

一方、まずは物事の全体・大枠をつかみ、そのイメージからパターンや細部をとらえよ うとする人は、自分の本能的な感覚を大事にする「直感型(Intuition)」です。

では、それぞれの特徴をもっと詳しくみてみましょう。

「感覚型(Sensing)」に多く見られる特徴 ・今、目の前で起きていることに注目 ・実用的なことや実践的なことに価値を置く ・具体的なこと、分かりやすい事に重きを置く ・物事をじっくり観察して判断する ・将来より、今が大切。朝三暮四的、明日の100 円より今日の50円。 ・ひとつずつ、順を追いながら物事を考える。過程を重視。 ・経験の積み重ねを信頼する

「直観型(Intuition)」に多くみられる特徴 ・物事の全体像、大枠をつかむことに力をそそぐ ・イメージや印象、 “ひらめき”に価値を置く ・物事を本能的に判断する ・事実からその背景にあるパターンや意味を洞察する ・現実より、将来性や可能性に眼が向きやすい ・ふっと思いついたり、思いたったことなどからヒントやアイディアを得る

・曖昧なこと、抽象的なこと、理論的でないことも許容できる

 

C.判断の基準(思考型/T or 情緒型/F)

皆さんは日々時々、いろいろな場面でさまざまな判断を強いられながら生きています。 そうした判断を積み重ねて結論を導き出し、問題を解決したり目標に到達したりするわけ です。

ここでは、皆さんがそうした判断を下す際の傾向について考えてみましょう。

あなたが、データや理論などに基づき、原因や結果なども踏まえて客観的・合理的に判 断を下すなら「思考型(Thinking)」です。

一方、理屈にとらわれず周囲への影響や調和にも配慮し、心情的な要素も充分加味して 判断するなら「情緒型(Feeling)」です。

それぞれの詳しい特徴は、

「思考型(Thinking)」に多く見られる特徴 ・数値やデータなど分析的観点を重視して考える ・論理的な解決法を採用する ・原因と結果から考える ・クールで毅然とした印象 ・私情に左右されず、客観性・合理性を追究する ・公正、公平であろうとする

「情緒型(Feeling)」に多く見られる特徴 ・人の心情やセンチメンタル・バリューにも重きを置く ・周囲の人々や相手への影響に配慮する ・自分の価値感から考える ・穏かで親しみやすい印象 ・調和や個人の尊重を大切にする ・柔軟性があり寛容な考え方

 

D.日常生活の指針(規範型/J or 柔軟型/P) この指標は、皆さんが日々の暮らしを営むうえで、どのような態度で臨んでいるかを表 す指標です。

毎日のスケジュールをキチンと把握・管理し、規則正しい生活を送っている。身の回り も整理・整頓され、何事も計画を立ててそれに従って実行する。このような人は「「規範型 (Judging)」です。

一方、状況に応じて柔軟に対応する。 格式ばったり規則でガンジガラメの状況は嫌いで、 締め切りなども間際になってから始めたりする。結論や結果も、状況に応じて変更OK。 こんなあなたは「柔軟型(Perceiving)」です。

それぞれの特徴は、 「規範型(Judging)」に多く見られる特徴 ・スケジュールにそって行動する ・整理された状態を好む ・規律正しい ・どちらかというと几帳面 ・まずは計画を立てる ・結論を出すことや決着をつけることを好む ・最後に慌ててやることを避ける

「柔軟型(Perceiving)」に多く見られる特徴 ・状況に応じて行動する ・制約にとらわれず、格式ばらない ・計画にこだわらない。柔軟な計画を好む。 ・まずは状況を充分にみる ・結論や結果に変更の余地を残しておくことを好む ・最後に一気にやる

さて、これで4つの側面それぞれのについてはお分かりいただけたでしょうか。ディテ ールを確認して、4つのアルファベットもそろいましたか。今は何の意味もない文字列で すが、それがあなたの性格を表すMBTIのタイプ指標です。

2.MBTI の16のタイプ

先ほどトライしていただいたテストの結果、皆さんのタイプをまとめると以下のように なります。

*16のタイプ *

感覚(S)タイプ 直観(N)タイプ 内向タイプ ISTJ ISFJ INFJ INTJ (I) ISTP ISFP INFP INTP

外向タイプ ESTP ESFP ENFP ENTP (E) ESTJ ESFJ ENFJ ENTJ

これから、上の表のMBTIの16のタイプそれぞれを見て行くわけですが、その前に タイプを決めるうえで、心に留めておいていただきたいことをご説明しておきます。

MBTIは信頼性や妥当性に裏付けられた性格テストですが、どのテストにもいえるよ うに、テストには限界があります。

ですから、テストの結果、該当するとされたタイプが本当に自分の特徴と合致している のかは、ご自分で確認していただかないといけません。ほとんどの方は、テストの結果得 られたタイプがしっくりくるのではないかと思います。タイプについての解説が、なるほ ど当たっていると感じられたなら、これをベストフィットタイプといいます。

タイプがどうも納得がいかないという場合、何らかの理由あなたの本質がテストに反映 されなかったことが考えられます。よくあるな理由としては、次のようなものです。 ・ 回答の際、自分は「こうしたい」「こうあるべき」という観点から回答した ・ 自分が現在置かれてる家庭や職場などの生活環境に回答が左右された ・ その他、何らかの偶然の要素が回答に影響した

もし、今回のテストの結果得られた自分のタイプに自信がもてないときは、他のタイプ の解説に目を通すなどして、自分によりしっくりくるベストフィットタイプを探しましょ う。例えば、4つのうちの3つ、EとNとPはぴったりすると感じていたら、ENFPと ENTPの両方の説明を読んでみてくださいね。

もし、どうしても自分のベストフィットタイプが見つからなければ無理に決める必要は ありません。

ぴったりするタイプを考えるということは、自己探求のプロセスです。まず、自分に近 いタイプに目星をつける程度で十分です。

 

  • タイプを用いる時の注意点 ・ 人それぞれに個性があるように、このタイプにも優劣はありません。タイプは皆さ んの個性や思考・行動の特徴などを表すものにすぎません。 ・ タイプは自分自身に対する理解を深め、あるがままの自分を受け入れて、他との相 違を認識し、より良いコミュニケーションや人間関係を築くための指針です。 ・ 人の性格は複雑で、幾つかの側面や要素のみでは到底見極めることはできません。 ですから、テストの結果同じタイプの人同士であっても、人生観や価値感などが全 く同じということはなく、性格はそれぞれ異なります。
  • 各タイプの割合 参考までに、アメリカで実施された 22,000 例から、各タイプの割合を上げておきます。
  1. ISFJ (11.9%) 2. INFP (11.4%) 3. ENFP (11.3%) 4. ISTJ (8.8%) 5. ESFJ (8.6%) 6. ESTJ (7.1%) 7. ISFP (5.9%) 8. INFJ (5.9%) 9. ESFP (5.4%) 10. ENFJ (4.3%) 11. INTP (4.0%) 12. ENTP (3.6%)
  2. ISTP (3.1%) 14. INTJ (2.9%) 15. ESTP (2.8%) 16. ENTJ (2.2%)

あなたのベストフィット・タイプは、どれでしたでしょうか?では、これから、いよい よ各タイプの特徴を見て行きましょう。

ISTJ[内向・感覚・思考・決断]

 

【一人でコツコツ努力する人】

このタイプはこんな性格 ISTJは、まじめで誠実な働きものです。実直で、モクモクと集中して、計画性を持 ってものごとをキチンとやり遂げます。責任感があり、やるといったん決めたら抵抗や障 害にあっても着実にやり通すので、たいへん信頼がおけます。 実践的で、秩序や事実を重んじ、論理的・現実的です。事実関係を把握するには、細か いことにもこだわり、すべてを体系立てて整理しようとします。 記憶力がよく、何年も前のささいな出来事さえも覚えていたりします。口数は少ないで すが、口にした約束は守ります。よけいな邪魔が入らないところで、一人で仕事をするの を好みます。 自分の責任をよく心得ており、上司が厳しく監視しなくてもサボッたりせず、やるべき 仕事は進んでします。決まった順番、決まった道筋など、自分なりのこだわりが強く、な かなか変えようとしません。 休日も、ブラブラと暇をつぶしたりせず、予定を決めて過ごします。手先が器用な人が 多いのも、このタイプの特徴です。日曜大工や車の手入れ、陶芸や刺繍など一人でコツコ ツできることが好きです。

このタイプはここが弱い 慣れ親しんだ環境ややり方なら、精神的にもリラックスでき、イキイキと力を発揮しま す。ところが、新しい環境や未知の分野に取り組まねばならなくなると、とたんに不安定 なります。 前例や実体験を重視するあまり、経験したことのない新しい物事に対して大きな不安感 を抱いてしまうのです。また、自分の五感で確認できる事象を重視するので、将来や可能 性といったあいまいな概念には拒否反応を示します。長期的な視野を持つことが難しいの で、新しいやり方や環境を受け入れないところがあります。 公平であろうとするため、先入観や疑いを持つこともせず、人の意見を真に受けてしま うところがあります。しかし、その公平さが裏目に出て、人の感情を考慮せずにドライに ものごとを進め、「非情な人だ」と恨みを買う場合もあります。併せて、もともと保守的な ので、リスクを冒さなければならないとなると、とたんに腰が引けてしまいます。

あなたへのアドバイス 突発的なことが起きて予定を変更せざるをえなくなった場合、柔軟に対応できなかった りしませんか? 新しいものごとにも向き合えるよう、未知のものも許容できるように、恐れずいろいろ な経験を積極的に積んでいくようにしましょう。

ISTJの著名人 エリザベス II 世、ビクトリア女王、米国大統領ハリー・トルーマン.

ISFJ[内向・感覚・情緒・決断]