大阪地下鉄『御堂筋線』に乗ると、個性的な人をよく見かける。
その中でも、今日はとびきりの人を発見した。
年の頃は65~70歳。
爽やかな花柄シャツに、春らしい淡い藤色のジャケット姿。
ヴィトンのポーチを膝に乗せ、
顔には薄くファンデーションを施し、
うっすら口紅をつけて、
丁寧に書いた眉毛は、最後の方が少しズレていたが、
座席に座る姿勢はシャンと背筋が伸び、
見るからに上品な初老だった。
ただ唯一個性的な点は、「カツラ」である。
その「カツラ」の形状と付け方がやたら面白い。
見たままに説明するので、ちょっと想像してほしい。
カツラの大きさは、小さなビジネス手帳サイズ。
形は付け髭(髭ダンスの大きいバージョン)。
色は黒。
※その回りに薄く残った地毛は茶色。
それを額の上にだけちょこんと乗せており、
落ちないように、後頭部から無理やり引っ張った髪に、
頭のてっぺんでヘアピン留めしてある。
私は車両内で、その方の斜め上方から見ていたのだが、
まさに額の上に黒いビジネス手帳を乗せているかに見え、
何度も内緒で写メを撮りたい衝動に駆られた。
しばらく眺めていると、よからぬ妄想が浮かんできた。
「この人はワザと(ウケる為に)してるんちゃうかな~?」
「もしワザとなら、さすが大阪人や。」
「そやったら、難波駅で降りるかもな~」
「うん、絶対難波や。
本町で降りずに難波まで付いていきたいなぁ。」
「そして、後ろからNGK(難波グランド花月)まで付いていき、吉本の芸人さんであることを確認したい!」
「そうして堂々と声をかけて、写メを撮らせてほしい!」
梅田から本町までのわずか2駅の時間。
私の楽しい妄想タイムはあっという間に終了した。
ちなみに言い忘れていたが、
この方は男性である。