新しい講演の依頼を請け
新ネタを考えねばならないとき…
私はまず、クライアントから依頼されたテーマについて、
あれこれ思いを巡らせて、ぼ~っと日々を過ごす。
この数日は、あえてそのテーマについては調べないことにしている。
例えば、最近の例でいうと
クライアントから依頼された講演のテーマが
「数珠(じゅず)のご利益と仏事の作法」なので、
まず「数珠」について、ぼ~っと、あれこれ考える。
数珠って・・・
「仏教だけ使うんやろか?」
「ソロバンと関係あるんやろか?」
「首にかけたら、ぼんぼり付きのネックレスやなー」
「手首に巻いたらパワーストーンブレスやんか!何が違うの?紐?」
などなど。
この作業は、頭の中を発酵させているイメージに近い。
たぶん、「数珠」というテーマに対して脳のアンテナを立てているのだ。
アンテナがたつと、テレビでの葬式シーンに目がとまり、
「あっ、あの人の数珠は白いっ」
「おおーっ、あの人のは真っ赤で長いなー…」
などと、興味がどんどん膨らんでいくものである。
このように、
「このテーマは、私の新しい趣味である」と、
脳に勘違いさせる方法が、新しい勉強にはとても有効なのだ。
そして最終的には、当然、専門書から情報を収集する。
出張の先々で、結構大量の本を買いあさり…、
仕事の後、ホテルで作業に取りかかる。
使えそうなネタの部分はマーカーで“ぐちゃぐちゃ”線を引き…、
そのページに付箋をつけながら、ばばばば…っと読み進んでいく。
「珊瑚の数珠は、福を得ること100倍」
ふ~ん、これはマークやな。
そんな作業中に、ふと閃いた言葉や疑問点は
別の情報カード大の付箋に直接書き込み、ノートに貼っていく。
七宝とは、「金、銀、珊瑚…」???
「金、銀、パール (プレゼント♪) ちゃうのん?」などだ。
あいにく得る情報が少なかった本は、
申し訳ないが、マーカーのページだけ破りとり、ゴミ箱に捨てる。
なぜなら、出張先での作業が多いので、荷物が増えると移動が大変なのだ。
(本は切り取らず、破りとるのが著者に対する綾原流の礼儀である)
その後、インターネットで調べて細かい数字等を付け加え、
台本のたたき台が完成する。
最後は、
感動する「関連映画」を観て思いっきり感情移入し、
時には涙ぼろぼろになって、一気に台本を修正し、仕上げる。
冷めた講演にならない為の、私なりの工夫である。
今回選んで、ぼろぼろ泣いた映画は、
当然「おくりびと」である。