本で読んだ話だ。



昔、荘子というえらい人がいた。




彼は、栗園の中で、大きな鳥を射よう身をかがめた。




しかし、大きな鳥はまったく身動きしない。

大きな鳥は、大きなカマキリを狙っていたのだ。





その大きなカマキリに目をやると、

そのカマキリもじっとしている。

目の前のセミを捕獲しようと狙っていたのだ。




目先の利益だけに気をとられると、

まわりが見えなくなるのだ・・・




「利を見て而(しこう)してその真を忘る」




荘子は教訓を得た。




そう思っていると、

今度は荘子自身が栗泥棒と間違えられ、

栗園の番人にこっぴどく怒られた。




落ちのある、いい話だ。