その椅子に、初めて一通の手紙が届きました。
差出人の名前はありません。
白い封筒には、ただ一言。
「この椅子を置いてくれた人へ」
こんにちは。青い衣の妖精、ソラです。
以前のお話で、私たちは一脚の空いた椅子に出会いました。
誰かが疲れたとき。 誰かが寂しいとき。 何も話さず、ただ静かに休みたいとき。
そんな人のために、いつでも空けておきたい椅子でした。
ある朝、その椅子の上に白い封筒が置かれていたのです。
私はそっと手紙を開きました。
そこには、こんな言葉が書かれていました。
「昨日、少しだけこの椅子で休ませてもらいました。
私は工場で働いています。
夏になると建物の中はとても暑く、毎日、一生懸命働く仲間たちのことが心配になります。
ここで休んでいたとき、森から涼しい風が吹いてきました。
こんな優しい風が、私たちの工場にも届いたらいいのに。
そう思いました。
椅子を置いてくださって、ありがとう。」
私は、しばらく手紙を見つめていました。
そこへ、ひよりがやってきました。
「ソラさん、どうしたんですか?」
私は手紙を渡しました。
読み終えたひよりが、小さな声で言いました。
「この人の工場にも、森の風を届けられたらいいですね。」
私はうなずきました。
「そうね、ひより。でもね、森の風をそのまま運ぶことはできなくても、自然の力を上手に使うことはできるのよ。」
私たちの森には、もう一つの大切な物語があります。
それは、森を育てている会社、アクアグリーン・エターナル(AGE)の物語です。
この会社は、水や空気、熱、そして自然が持っている力を大切にしています。
地下水の冷たさを生かしたり、空気の流れを工夫したり、捨てられてしまう熱をもう一度役立てたり。
自然の力をできるだけ生かし、足りないところだけを機械の力で補う。
それは、働く人や、農作物や、そこで暮らす生き物たちを大切にするための技術でもあります。
ひよりが目を輝かせました。
「ソラさん。森の優しさが、本当に誰かのお仕事を助けることもあるんですね。」
「ええ。でも、まずはその人の困っていることを、ちゃんと聞くことから始まるのよ。」
私は、もう一度手紙を読みました。
この椅子を置いたとき、遠くの工場で働く人のことまでは考えていませんでした。
ただ、誰かのために、ほんの少しの場所を空けておきたかったのです。
でも、その小さな場所から、知らなかった誰かの声が届きました。
優しさとは、きっとそういうものなのでしょう。
最初から大きなことをしようとしなくてもいい。
目の前の誰かを大切にすることから、思いがけない未来が始まることもあるのです。
私は白い封筒を大切にしまいました。
そして、椅子を元の場所に戻しました。
ひよりが不思議そうに尋ねました。
「ソラさん、また誰かが来るんですか?」
「ええ、きっと。」
青い衣が、柔らかな風に揺れました。
「だって、この椅子は、まだ出会っていない誰かのための椅子ですもの。」
森の向こうには、たくさんの町があります。
工場があり、農園があり、そこで毎日を懸命に生きている人たちがいます。
その一人ひとりの声に耳を傾け、小さな優しさを、現実の力へと変えていく。
それが、この森と、森を育てる会社の大切な願いなのです。
今日できるすべてのことを、愛を込めて。
さて、次はどんな人の声が、この椅子に届くのでしょう。
私とひよりの旅は、まだまだ続きます。
あなたの近くにも、誰かのために空けておける小さな椅子があるかもしれませんね。
🌳 FIRST LIGHT COMMUNITY
クイーンソラ 🌷
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