私のお母さんは病気です。
ずっとずっと前から。
うつ病。
今でこそ聞き慣れた病気だけど、
今まで誰にも打ち明けたことはない。
本当に誰にも。
最近やっとカズにだけ話せた。
もう慣れたはずなのに、
お母さんの病状がよくなかった時期を思い出しながら話すのは
自分でも驚くくらい涙が止まらなかった。
あの頃、私はまだランドセルを背負っていた。
誰にでも、
少なからず問題や悩みはある。
人に話すことでやわらぐこともある。
あの頃がうそだったかのように
今のお母さんは笑う。
あれは悪い夢だったのか。
でも未だに通院も薬も欠かせない。
母子の間に確実にぽっかり空いた時間を感じる。
時々、体の不調を訴えるお母さんからの連絡に、
体がざわざわする。
それは恐怖に近い。
こんな思いはずっとずっと続くんだろうなあと、
それは紛れもない現実だ。
私がいま、母親となり、
その苦労を思い知ると
本当にお母さんを尊敬する。
だけどどこかで確実に
「お母さんのようにはなりたくない」と強く思う。
私たち家族が思い知った苦労を、
絶対に瑞希やカズにさせたくないということ。
最近は瑞希のトイレトレーニングが
一進一退。一喜一憂。
はぁーーーー。と卒乳、離乳食の終わりを
願った気持ちと同じものを感じながら。
本当にイラストするし、悩むし。
でもトイレトレーニングなんて
なんてかわいい悩みだったの?と思える日が来るんだろうな。
成長して行くにつれ、
親の目の届かないところで、
見えない何かに、瑞希が悩み、苦しむことがあるんだろうな。
人間関係。学校。勉強。進路。
…
どんなサポートが必要な時でも、
親に遠慮なんてしなくてすむように。
いつまでも瑞希にとって、
安心できるお母さんでいられますように。
そう思えるのはお母さんの病気があったから。
だからお母さんを悪く思ったりはしない。
ただ、私はいつもどこかで
不安と恐怖を心の隅に感じている。