『海』について
海
海は広いらしい。
海は大きいらしい。
海は幸福で満ちているらしい。
海ってなんだろう。
どうしても海を見てみたい。
そんな魚がいた。
あるとき、その魚は光るものを飲み込んだ。
エサには針がつけられていた。
魚はぐいぐい海の外に引っぱり上げられていく。
海の外に出た。
数メートル海から離れた。
すると途端に呼吸ができない。
苦しい。
意識が遠のいていく。
一瞬、その魚は眼下に青く澄んでいるものが見えた。
それは美しく果てしなく広がっていた。
あぁ。まさか、まさか。
僕がずっと泳いでいたところが海だったの か。
魚は釣り上げられ息をひきとった。
これは「海の中の魚」という話をアレンジしたのが上の詩。
自分たちは、実はすでにいま現在、幸福に満ちているのだけれど、不幸がないとその幸福に気づけないというたとえ話。
骨折した人が、普通に歩けるってすごく幸せなことだったのかと感じるのと同じ構造。
例えば偏頭痛がひどい人は、どんなにお金をもらっても、この偏頭痛が治った方がうれしいという。
いま頭がいたくないってことだけで実はすごく幸せな状態。
魚は死ぬ間際、あれだけ憧れていた、海の存在をつかむ。
この魚は不幸だったのか。
それとも幸せだったのか。
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