「快斗、入っていいかな?」
ノックと同時にスザクが青子の部屋の前で呼び掛けると数瞬の間をおいて部屋の中から声が響いた。
「ちょっと待って。あと一分で終わるから。」
「わかった。大丈夫、急がなくていいよ。」
そう応えるとスザクはルルーシュが作った粥をのせたトレーを手に持ったまま扉が開くのを待った。
「わりぃ、遅くなった。」
その言葉通り、約一分後。
快斗が中からドアを開くとスザクが柔らかく微笑む。
「ルルーシュから頼まれたんだ。青子の食事を作ったから持って行ってくれってね。」
「だったら自分で持ってくればいいのに。」
溜息混じりにそう口にした快斗にスザクが苦笑いを零す。
「僕もそう言ったんだけどね。自分がいったんじゃ青子が落ち着かないだろう・・・っていうんだよ。体調の悪い青子に負担を掛けたくないからって。」
「たくっ・・・。つまらねぇ事気にしやがって。」
一瞬目を見開いてから快斗はそう苦笑いで応える。
「でも、ルルーシュらしいよ。そういう考え方。」
「スザク・・・。」
呼び掛けた快斗にスザクが微笑して頷いた。
「入ってもいい?」
それから再び顔を上げてスザクがたずねると「もちろん。」と言って快斗は扉を大きく開いた。
そうしてスザクを部屋の中に招き入れる。
部屋の中に入ったスザクはトレーを机の上に置くとベッドで横になっている青子の枕元に両膝をついてその顔を覗き込んだ。
「スザク・・・君?」
「うん、ルルーシュが青子の為に作ったお粥を持ってきたんだ。起きられる?」
問い掛けたスザクに青子は頷くと、ゆっくりとした動作で体を起こした。
「大丈夫か?」
心配そうに顔を覗き込んで背中を支える快斗に青子は頷く。
「快斗、ルルーシュ君のお粥・・・。」
「ああ、ちょっと待ってろ。」
そう言って快斗はスザクが運んできたトレーをベッドサイドまで運ぶと、小皿に取り分けて冷ました粥を青子の口許に運んだ。
「いいよ、自分で食べられるから。」
恥ずかしそうに顔を赤らめた青子に快斗は溜息を吐きながら首を横に振る。
「いいから、無理すんなって。ほら・・・しっかり食べねぇと熱下がらないぞ。」
「う・・・うん。」
仕方なく頷いて口を開けた青子の口内にそうしてゆっくりとスプーンが運ばれる。
「おいしい!!」
一口目を口に含むと目を丸くして青子がそう声を上げ快斗を見つめた
「卵ふわふわ!!すごくおいしい!!青子こんなに上手に作れないよ。」
熱で頬を紅潮させながらも笑みを浮かべる青子にスザクと快斗が顔を見合わせて微笑む。
「もっと食べるか?」
「うん。ちょうだい、快斗。」
青子はそう言うと今度は自分から口を開けて二口目を口の中でほおばる。
「そんなにうまいのか?」
たずねた快斗に青子は大きく頷いて笑みを返した。
「おいしいよ!!快斗も食べてみて。絶対おいしいから!!」
「わかった。それで、まだ食べられるか?」
興奮気味に話す青子に快斗は苦笑して応えた。
「うん。」
そうして取り分けた粥を完食すると、青子は幸せそうに「おなかいっぱい。」と言って快斗が用意した薬をコップの水で流し込むとほっとした様に息を吐いた。
「あ~、おいしかった。」
そう言って青子は微笑むとベッドの中で横になる。
「ゆっくり休んで、青子。」
声を掛けたスザクに青子は笑顔で頷いた。
「スザク君。」
「なあに?青子。」
呼びかけに答えたスザクに青子は微笑んで言った。
「ルルーシュ君にありがとう・・・って、伝えてくれる?」
その言葉にスザクは微かに目を細めてからもう一度柔らかい笑みを浮かべて頷く。
「うん、ありがとう。必ず伝えるよ。」
そう応えたスザクは微笑して快斗と顔を見合わせると静かに踵を返して部屋を後にした。