快青祭り、開幕です(⋈◍>◡<◍)。✧♡
という事で第一弾は初版プラレボ設定で♪
https://ameblo.jp/infinity20021008/theme-10099870905.html
現在pixiv公開中の同シリーズとは設定が異なる為ご了承ください。
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「青子・・・。」
オレはそう静かに名前を呼んだ。
「快斗・・・。」
そんなオレに青子が切なげに目を細める。
誰もいない、ふたりきりの空間。
外界から閉ざされた冷え冷えとするそこ・・・阿笠邸の地下室は、組織に正体がバレて学校に通う事はおろか家に帰る事さえ出来なくなったオレの為に、本来ライバルである名探偵が用意してくれた場所で、オレにとって元々は縁もゆかりもないところだ。
寺井ちゃんは組織の内情を探る為に数日前に姿を消して、警部は出向の名目でアメリカに渡りFBIに保護されている。
そしてオレのせいで組織に命を狙われる事になってしまった青子もまた、オレ同様家に帰る事も出来ずにここに隠れて暮らすしかない様な状況が今の現場だ。
ホント最悪。
一言で言ってしまえばそういう事で。
どうしてこういう状況になってしまったかというとそれは、オレがパンドラを探す為に組織と対立しながら動き続けたその結果がこれというわけで。
そのすべての元凶はオレで。
そして本当に皮肉な事に、言ってしまえば今この世界の中で、オレ自身が世界に災厄を振り撒くパンドラの箱みたいな存在で。
そんな状況で青子を求めるなんて卑怯だってずっと思っていたんだ。
だってそうだろ?
この邸の外には一歩も出られないし、外に出れば確実に組織に狙われる。
そんな状況でオレに求められたら、青子は閉ざされたこの狭い部屋の中でオレを受け入れるしかなくなる。
優しい青子はきっと何があったってそれを拒めない。
それをわかってて手を出すなんて絶対に卑怯だ。
もっとも、今まで青子を散々偽り騙してきて、今更そんな正論を振りかざす権利がオレにあるのかどうかもわからないけど。
それでもやっぱり嫌だったんだ。
青子が好きだから。
どうしょうもないくらいに大好きで。
青子はオレにとってかけがえのない存在で。
だからこそ、同情で青子がオレを受け入れるしかない様な状況は絶対に。
でも・・・。
「快斗。」
青子がオレを見つめて名前を呼んだ。
「大好きだよ、快斗。」
そう言って柔らかく青子が微笑む。
その声に。
言葉に。
胸が震えた。
ごちゃまぜになった感情が溢れ出してきて思わず目の奥からオレの意図しないモノが溢れ出しそうになるのを必死で堪えて、唇を強く引いたまま青子を見つめ返す。
「好きだよ。大好きだよ。」
青子がその大きな瞳を涙で潤ませて何度もそう言ってくれた。
こんな状況なのに、オレはもう本当に情けないくらいにそれが嬉しくて。
青子に手を伸ばしたくて。
青子を今すぐこの腕の中に抱きしめたい・・・って、そう思った。
でも、きっと。
そうしてしまったら、もう後戻りは出来ないって思うから。
オレはきっとそのまま青子を・・・。
「快斗?」
そう青子を素直に求める事も出来ずに、微かに手を震わせ握り締めて俯いたオレの顔を青子がキョトンとした顔で不思議そうに下から覗き込んだ。
ホント、こんな状況なのに。
こういうとこは変わらない。
そう思って、オレは顔を伏せたまま少しだけ苦笑を浮かべる。
そんなオレを青子は切なげに目を細めて見つめて。
次の瞬間オレはふわりと正面から柔らかい感触に包まれた事に気づいて顔を上げた。
「青・・・子?」
呼び掛けたオレに青子がギュッとオレを抱き締めて耳許に顔を寄せる。
「ここにいるよ?」
青子はそう言うと、顔を上げてオレをじっと見つめた。
「青子・・・。」
オレはそんな青子から目が離せなくなりその大きな瞳を見つめ返す。
青子の目の端から溢れた涙が伝い落ちて幾筋もその頬に痕を残した。
「青子がいるでしょ?」
青子はそう言うと、オレがずっときつく握り締めていた掌を取り、ゆっくりとその心までもほぐす様に指を解いて掌を開いていく。
「ここにいるから。」
開いた掌を青子が自分の頬に寄せて言った。
オレはクッと唇を噛んでわずかに顔を伏せると、そのまま青子の手を強く握り自分の懐に引き寄せる。
「アホ子。」
オレが思わずそう口にすると、青子が微かに小首を傾げた。
「快斗?」
「引き返せなくなるだろ?」
そう言うとオレはそのまま自分の唇で青子の唇を塞ぐ。
目を閉じた青子の頬に手を伸ばして、親指でその線をなぞった。
それから顎に手を掛けると角度を変えて啄む様に口づけを落とし、開かせた隙間から自分の舌を割りこませる。
わずかに呻く様な青子の声がオレの耳朶を刺激する。
「青子・・・。」
何度も名前を呼んでは唇を重ねて、その度に口づけを深くした。
「快斗。」
オレの背中を掴んだ青子が必死にそれに応えてくれる。
そんな青子にオレは胸に熱くこみ上げてくるものを感じながら、そのまま突き進んでしまいそうになる強い衝動をなんとか自分の中に抑え込んでオレは顔を上げた。
「青子。」
呼び掛けたオレは青子の顔を正面から見て言った。
「青子が好きだ。」
目を逸らさずに初めてハッキリとそう告げたオレに青子が目を瞬かせる。
「快斗?」
「こんな状況で・・・って思ってたけど。でも、ゴメン。」
オレはそう言うと、青子に手を伸ばしてそのまま以前よりも更に痩せて細くなってしまった背中を抱き寄せる。
「青子が欲しい。」
「快・・・斗。」
名前を呼ぶ青子の声が震えた。
当然だ。
いくらお子様な青子だってその意味に気づかないわけがない。
それでもオレは・・・。
「ゴメン、青子。」
オレは抱き締める腕に更に力を込める。
「オレのせいでこんな状況に巻き込んで。それだってろくに謝ってもいないのにこんな事・・・。」
そう言ってオレは青子の肩に顔を埋める。
「快斗・・・。」
「それでもゴメン。青子の全部、オレのものにしたい・・・って思ってる。」
オレはそう言うと、口の端から苦い笑いを零した。
「ホントオレ、すっげぇ卑怯・・・。」
自嘲気味にそう口にしたオレに青子が首を強く横に振ると、額を胸に押しあてる。
「ダメだよ、快斗。そんな自分を貶める様な言い方したら絶対にダメ。」
そう言って青子が顔を上げる。
「青子・・・。」
呼び掛けたオレに青子が微笑む。
「青子は快斗が大好きだよ。」
もう一度青子はそう言うとオレの背中に腕を回して胸に頬を寄せる。
「青子は快斗が大好き。だから・・・大丈夫。」
一瞬オレは呆けた様に口を開け目を見開いてから、それが青子の答えだという事に気づいて。
堪え切れずにきつく瞼を閉じて青子を抱き締めた。
「青子・・・。」
「快斗。」
呼び掛けたオレに青子が手を伸ばした。
「大丈夫。」
そう言って青子が優しくゆっくりとオレの頭を撫でる。
その仕草が妙に大人びていて、オレはやっぱりそんな青子やっぱり胸の奥から溢れ出しそうになるモノを感じて。
必死で堪える為に唇を強く引いた。
「ゴメン、青子。」
きっと何度言っても足りないはずのその言葉を青子は微笑して受け止める。
「快斗、大好きだよ。」
オレは頷くとその言葉に誘われる様に青子をベッドに押し倒した。
「好きだよ、青子。」
オレはそう青子の額の前髪をかき上げて口づけを落とす。
「青子だけ・・・ずっと、好きだった。」
そう言いながら頬や首筋に口づけをした。
「快斗・・・。」
「青子に嘘ついて騙して偽って、いっぱい傷つけてきて。それでもここにいたのは、きっと青子がいたからなんだ。」
オレは言いながら青子の柔らかい胸に耳をあてた。
そうして聞こえてくる青子の鼓動に目を閉じたまま耳を澄ませる。
「卑怯でもなんでもいいから、青子のそばにいたかった・・・たぶん、それだけだから。それは信じて。」
そう伝えたオレに青子が強く瞼を閉じて頷く。
閉じた瞳の端から涙が零れ落ちた。
「ここにいて、快斗。青子のそばに・・・。」
そう言われたオレは顔を上げて青子を見つめる。
「青子・・・。」
「絶対に・・・いなくなったりしたら許さないからね。」
その言葉に深く頷くと、オレは青子にもう一度唇を重ねた。
どんなに狡くたって卑怯だって構わない。
それでも青子のそばにいたい。
わがままなくらい何よりもそれだけを願うから。
だってオレにとって青子は。
パンドラの箱に残された唯一の希望なんだって。
やっぱりそう、改めて強く思ったんだ。
Fin.