夢を見ていたんだ。

君が。
オレに笑いかけてくれる。

そういう夢。

だけどそれは。
叶うはずもない。

だって。

オレは君が世界で一番憎むべき人間で。
オレは君に嘘の自分しか見せていない。

そんなオレが。
君に赦されるはずもない。

わかってたよ。
わかってた。

だけど。

諦めきれなかった。

そんな時。
壊れた。
全て、崩壊した。

薄氷の上に成り立っていた。

それでも大切な。
オレの日常。

だから、覚悟した。
君がオレの前からいなくなってしまう事。

いや。

オレが君の前から。
この『オレ』という。

忌まわしい存在を消すべきだと。

パンドラの箱の様に。
災厄をこの世界に撒き散らすオレに。

居場所はない。
この世界のどこにも。

そしてもちろん。
君の隣にも。

だから、姿を消した。

君を守る為に。
それしかないと思った。

だけど。
君は許さなかった。

臆病で、嘘つきで。
君に真実を話す事も出来ない。

全部、偽りと嘘で塗り固めてきた。
そんなオレの為に。

涙を流して。
必死で取り戻そうとして。

そして、手を伸ばしてくれた。

すべてを知って。
オレの愚かさも。

罪も。
罰も。

全部わかったはずなのに。

君にオレがいままで。
君に。
君達に。

酷い。
どれだけ残酷な事をしてきたのか。
わかっていたはずなのに。

それなのに。
君は・・・。

『大好きだよ。』
その言葉をオレにくれた。

地獄の報いを受けて、傷だらけになったオレを。
力いっぱい抱きしめて。

『そばにいて。』
必死に、そう訴えて。

心も体もボロボロで、立ち上がれない。

現実の世界を放棄してもいい。
そう思っていたオレに。

手を差し伸べてくれた。

自業自得。
何があっても。
そう思っていたのに。

君がオレを受け入れてくれた。

すべてを知っても。
この手を離さずにいてくれた。

それがどれほど嬉しかったか。

きっと。
君にはわからない。

どんなに言葉を尽くしても。
言い尽くせないほど。

嬉しかったんだって。

それでは、赦されるだろうか?
オレが生きる事。

君の隣で。
君のぬくもりを感じて。

君を抱いて。

嘘じゃない。
本当の言葉を伝えて。

君を愛していく事。

赦されるかな。
もし、叶うならば。

オレは何もいらないから。

君と生きる未来以外、もう。
何もいらないから。

だから。
らしくない。

わかってるけど。

願うよ。
頼む。

そばにいてくれ。

心から君を求める。
オレを赦して。

大好きだよ。
君を。

そして、誓うから。

この身を。
いや。

この命の。
すべてを懸けて。

君を守ると。

それが、ただひとつ。
唯一、オレが望んだ。

心からの願い。