序章
はるか昔、この世界に剣と魔法が栄えていた時代。その学び舎は全てを見ていた。彼らの軌跡を時と共に。
第一章
「諸君らの入学を歓迎する!」
学園長の言葉を聞きまばらな拍手が辺りを包む。ここはネティス学園。数の多い学園の中でもあまり有名ではない学び舎。そして今はその入学の式である。この学園恒例の長い式辞やプログラムに飽きる者も多い。先程の拍手がそれを物語っている。
彼、リフティもその一人であった。
「ふわー、退屈だったなぁ。」
入学の式も終わり、次なる部屋へと向かう集団の中にリフティはいた。次なる部屋で何をするのかというと、入学試験の結果を元に生徒をグループに分けるのである。グループというのは少人数のクラスのようなもので、それぞれに担当者がつく。基本的には、グループのレベルが均一になる様に分けられる。部屋に着いた彼らは見た。その理不尽な決定を。
最高得点者 ローリエ、誰もが羨む様な頭脳、容姿を持った彼女は最低得点者 リフティのグループに所属していた。リフティの点数の悪さをカバーするには、きっと彼女の点数が必要だったのだろう。誰もがそう自分を無理矢理納得させた。しかし取れる限りで最もマイナスに近い点数の保持者の穴を埋めるためには、まだ足りなかった。
第二得点者 リィハ、彼女もまた、誰もが羨む頭脳と容姿の持ち主だった。そして、その彼女もリフティのグループの所属であった。グループの人数は三人。誰もが絶望した。
「よ、よろしく。」
挨拶するリフティ。迎え打つは二人の美少女達。リフティは困っていた。優しい茶色の髪に反して、鮮血の様に赤い瞳を持つローリエ。こちらは優しい。問題なのは、もう片方。さらりと流した金色の髪に、海を思わせる青の瞳を持つリィハ。リフティを文字通り、刺す様に見ている。なんでこんな奴と組まねばならんのかという文句の一つも言いたげな顔で。まあ、当然といえば当然だが。
数分後、その静寂を破ったのはリィハだった。
「うだうだしてても仕方がないわ。とりあえず、先生の所に行きましょう。」
反対する理由は無かった。
「こ、ここが先生の部屋なんだよな。」
「だからさっきから、そうと言っているでしょう。」
刺々しく言い放ったリィハが部屋のドアをノックするが返事が無い。
「お留守なんでしょうか?」
そんな控えめなローリエの言葉を破壊するかのごとく、リィハはドアを開け部屋の中へと踏み込んだ。そこで彼らが見たのは、書物、書物書物書物!書物の山だった。その奥からすー、すーと、規則正しい寝息が聞こえて来る。その者の正体を知るため、中へ踏み込んだ彼らは書物に埋れながら眠る一人の人物の姿を見た。安らかなその顔は先生、と言うよりはあどけない子供を連想させる。そうやって観察をする三人の気配に気付いたのだろうか、彼はうにゃ、と目を覚ます。
「あれぇ~、君達そんな所でどうしたんだい?」
寝ぼけているのか、いないのか。その質問に対してリフティ達は答え、自己紹介がそれに続く。
「そっか~、君達が俺の生徒かぁ~。俺はルフナ。よろしくね。」
「あ、よろしく。」
ルフナのペースに押され、言葉を返すリフティ。黒髪に赤の瞳。見る者を怪しく魅了する様な容姿であるが、なんとも穏やかな先生である。
この出会いが彼らの運命を大きく変えることに、まだ誰も気付いていない…。
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