今日のプロフェッショナルは日本の森の未来を担う森林再生のエキスパートの湯浅勲さんである。
荒れ放題だった森を蘇らせ、守り育てる仕事をしている。
実は今、日本の各所で森は危機的状況に陥っているという
戦後、植林が盛んになったが、外国からの安い木材輸入により、価格が暴落し、金にならない人工林は現在放置されているのだ。
人工林は自然と違うため、手入れをしないと荒れていってしまい、一度荒れたら再生することは難しいといわれている。
しかし、湯浅さんはたとえ荒れた森でも
『 手をかければ、森はよみがえる 』
そう信念を持って仕事に取り組んでいる
間伐をし、森を蘇らせながら、数十年後の未来を思い描きながら作業する。
成果が出るまで、とても長い仕事である。
大変なのは、それだけではない。
この仕事は元来、低賃金の出来高払いなのだ。
これでは生活もままならない。
それには理由がある。
手入れには多大なコストがかかるためだ
でも、これを何とかしないと
『 故郷の森を守れない 』
そして、
『 このままで、いいのか 』
と自問自答し、納得しないことはトコトン改革していった。
その結果、コストを知恵と工夫で3分の1に減らすことができ、業界に関わる人たちの生活も安定してきたのだ。
しかし、大胆な改革を行ってきたため、業界の人間は、不安と反論を口にする。
それでも、その都度みんなが納得のいくことを見つけ出し、森を救ってきた。
『 心が納得してこそ、前に進める 』
自分の納得だけではなく、周りの納得もなければ前に進めるものではないという。
外部の者が改革を持ちこむケースは多いが、内部の者が長い年月も厭わず、改革を推し進めるのは稀である。
人間を相手にしながら、自然も相手に仕事をするという心身ともに大変なことだろう。
ましてや、自然は人間の都合で簡単にどうかなるものではないのにだ。
湯浅さんの道は、前に進んでも後ろに進んでも横に進んでも険しかっただろう。
それでも、やらなくてはいけない強い使命で、突き進んでいる
湯浅さんはプロフェッショナルを
『 思い切って仕事に打ち込めるかどうか。そして、心の底から納得していること 』
だとおっしゃっている。
湯浅さんの信念は真っすぐである。
いや、それでは表現が不足している。
何かもっと澄んだものである。
林業の現状を知らなかった私が「こうだ」と意見するべきではないだろう。
湯浅さんを見習わなければならない。
私も意義ある仕事をしていくためには