緊急入院の後、

検査結果を聞いて今回は本当に

やばいんだ…と感じた。


胃カメラで採取した病理検査も

手術適応であることを示している。

家族は医師からの説明を聞いて、

涙を流している。

私は涙が出なかった。

悲しくないわけじゃない。

ただ、胃がんである事実を

受け止められずにいる。


面会時間も決まってるから、

ロビーで15分ほど話をして、

家族を見送った。

大丈夫かな?帰っても

泣いてるんだろうな…。



病室に戻って気を紛らわせる

ために本を読んだり、TVを

見たりした。

全く集中できなくて、

テレビの音声だけが、

流れ続けていた。

個室にさせてもらったから、

本当に良かった。


胃がん…。

何で私が…。

仕事だってようやく成長して、

これからなのに…。

どうして。



これからどれくらい生きれるの?

娘はまだ大学生だし。

手術と化学療法をしたら、

せめて娘の卒業を祝えるのか?

仕事は誰に任せていくか…。


頭の中がごちゃごちゃしてる。


まだ生きていたい!と

これ程感じるなんて。

今までだって一日一日を

大切に過ごしてきた。

できることを精一杯やってきた。

なのに今は1分、1秒が愛おしい。



病室の窓の外には

普通に生活してる人たちが、

忙しなく行き来してる。

今はやりたいこともできず、

ただパジャマを着て検査して、

私は一体何をしてるんだろう。


そしてようやく大粒の涙が

頬を伝った。

そして、布団を頭までかけて

声を出して泣いた。


泣いたまま、ウトウトして

しまったのか。

誰かが手を握る感覚があり

目を開いた。


そこには涙を流した和希がいた。