今日のブログリレー担当は、関西大学人間健康学部3回生の村井志緒です!
人間健康学部って聞き慣れないし、何を勉強しているの?と言われがちなのですが、わたしは福祉関連の勉強をしています。
ところで、皆さんは福祉と聞くと何を思い浮かべますか…?
これまでのわたしの経験上、福祉=介護と思われがちなのですが、一言で福祉と言っても、高齢者福祉・障がい者福祉・児童福祉などさまざまあって、生活保護や就労支援なども、社会福祉の一環で行われています。
今回のブログリレーのテーマは「あなたが伝えたい日本の問題」ということで、国際協力団体であるインコネに所属して、いつもはラオスのために活動しているわたしですが、今日は日本国内で起こっていることについて、少し長くなってしまいますが、皆さんにお伝えできればと思います。
突然ですが、皆さんは乳児院という施設をご存知ですか…?
乳児院は、主に1歳未満の乳児を養育することを目的とし、全国に130ヶ所以上あり、そこで3,000人以上の小さな子どもたちが生活しています。
かつては、戦争孤児を養育するための施設とされていた乳児院ですが、現在の入所理由のほとんどを、児童虐待やさまざまな理由による養育者の不在、また本人の障がいが占めています。
退所後も、多くの子どもが、主に1歳から18歳の幼児と少年を養護する、児童養護施設へ措置変更となります。
わたしは大学のある授業で、乳児院の現状を写したドキュメンタリーを見て、衝撃を受け、この現状を解決するために何か自分にできることはないのか考えました。
入所している子どもに対して、充分とは言えない保育士や児童指導員。
その中で必死に子どもたちのお世話をし、ヘトヘトになっている姿。
養育者がいない子どもたちにとって、乳児院や児童養護施設などは必要不可欠な居場所ではあるものの、そこで守られているのは最低限度の生活だけで、幼いときに親から受けるべき"愛情"が存在していないように見えました。
いま日本では、さまざまな理由から、親と一緒に暮らすことができない子どもが、約47,000人もいると言われています。
その子どもたちを、社会の責任で公的に育てていこうとすることを社会的養護と言います。
親と暮らすことができない約47,000人の子どものうち、乳児院や児童養護施設などの施設養護で育つ子どもが85%、里親制度などの家庭養護で育つ子どもは15%です。
日本を離れて見てみると、アメリカやヨーロッパでは70%、オーストラリアでは90%が、家庭養護で里親と共に暮らし、里親からの愛情を受け生活をしています。
もちろん、施設養護では愛情を受けられないというわけでも、施設養護を批判するわけでもありませんが、わたしは、家庭的な環境で育てられることが子どもの権利でもあるし、その子に"だけ"注がれる愛情がある家庭養護が広まればいいなと思います。
家庭養護のひとつである里親制度は、良く知られている養子縁組里親に加え、養育のみを行う養育里親、さらに、普段は施設で生活している子どもの外出や外泊を定期的に受け入れる、週末里親や季節里親というものもあります。
短期的なものなら自分の家庭でもできるかもしれないと思いませんか?
まだまだ里親認定の手続きが容易ではないなどの課題が残っていますが、これからの日本の未来を担う子どもたちにとって、成長しやすい環境を作っていくことが必要だと思います。
インコネの活動をしていて、「日本にも困っているひとはいるのに、なぜ海外支援をするのか」と言われることがあります。
自分たちの力だけでは問題を解決することができない国もあるから。
日本も戦後や災害時、海外からのたくさんの支援を受けて来たから。
理由はたくさんあります。
しかし、わたしが一番に思うのは、
わたしがたまたま出会って、「このひとたちのために協力したい」と思ったのが、ラオスのノンテノイ村とカブー村のひとたちだったから。
だれかひとりが、世の中の困っているひと全員を助けることはできないのなら、せめて自分が出会ったひと、自分の目の前にいるひとを助ければいいんじゃないか。
その代わり、他を知ることを止めずに、伝え続けていく必要があるということです。
わたしも、引退の時期が近づいて来て、ノンテノイ村とカブー村のひとたちのために最前線で活動できる期間も残りわずかとなり、次のアクションを模索している最中です。
このブログを読んでくださっている皆さんも、まずは、いま世界で起こっていることを知ることからはじめてみてください。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。
関西大学
村井志緒