村のおじさん | Infinite Connection

Infinite Connection

私たちINCONNEは“教育の充実から国の充実へ”をモットーにしている関西最大規模の学生ボランティア団体です。ラオス南部のノンテノイ村に幼稚園と小学校を建設、現在はそれらの教育プログラムの充実と中学校建設、医療支援や道路整備を並行して活動中です。

おじさん達が小学校のすぐ側の大きな木の下で円になって、プラスチックのイスに座っている。
互いに話をしているおじさん。
一点をじっと見ているおじさん。
タバコを吸っているおじさん。
ぼーっとしているおじさん。

その輪に緊張しながら若造が入っていく。
おじさんで成り立っていた空間に若造が入り込んだ瞬間、20本近くの視線を浴びる。

ここはラオス中部のカブーという少数民族が暮らす小さな村。
その小さな村にインコネは教育支援をしている。
目指すは教育環境の向上。
20人ほどの日本の大学生が年に2回、その小さな村を訪れる。
今回が初めてではなく、村の子ども達も自分達と仲良くなって楽しく遊んだりするまでになっている。

が、おじさん達はそう簡単ではない。
もちろん最初の時に比べれば距離は縮まったが、それでも相手は大の大人である。
自分の祖父と近い年齢の大人である。

静まり返る異様な雰囲気。
互いに緊張した様子で相手を伺う。
自分の隣には同じインコネのメンバー、そしてラオス人の通訳さん。

自分が話し出さなければ何も始まらないので「サバイディー」とラオス語で挨拶をする。
決まり文句のようにおじさん達も「サバイディー」と渋い声で返す。

これから話すのはとても大事なこと。
『おじさん達が考える理想の教育』
なんて抽象的で難しいお題なんだろう。
でも、その村に暮らすヒトの考えなくしてインコネが本当に創り上げたいものはできない。
それも村のヒトと一緒に。

『村のヒトと一緒に』
これがインコネで一番大事なこと。
インコネの考えではなく、村のヒトの考えに最大限寄り添う。
これが一番大事。

だから強面のおじさん達ともとことん話す。
村の子どもに将来どうなって欲しいのか。
この村をどんな村にしたいのか。
そのために何が必要なのか。
何をしたいのか。

話していくうちにだんだん熱くなっていくおじさん達。
国のミッションを担う人になってほしい。
人としての礼儀を重んじる人になってほしい。
この村に整った学校が欲しい。

おじさんだけじゃなく、隣の通訳さんも異様なまでに熱くなっていく。
おじさん達の理想を訊いたところで、こちらからのお願いを話す。
だって、その理想の実現のためには村のヒトの努力も必要だから。

そんなにたくさんのことは出なかったけれど、1つひとつがとても重かった。
その村を離れる最後の瞬間までにインコネと村のヒトとの距離はずっと近くなり、
信頼関係はずっと濃くなった。
それほどまでにヒトとヒトとが国籍も言葉も年齢も超えて互いに関わりあったということ。


次に会う時にはもっと深い、いろんな話ができるように頑張る。
そう思った2017年春。



副代表
関西学院大学3年
宇野大志