健康保険が適用される標準治療(手術、化学療法、放射線)に対して、高度な医療技術を用いた「先進医療」があります。

先進医療にかかる費用は全額自己負担が原則です。

ただ、がんになったからといって、すぐに先進医療を受けられるというわけではありません。

 

がんに効果があるとされ、費用の高い先進医療として、よく紹介されるのは特殊な放射線を使う「陽子線治療」と「重粒子線治療」の二つです。

がん細胞に放射線をピンポイントで照射するこうした治療は、1回の治療で300万円前後もかかるケースがあります。

 

厚労省によると、15年度(14年7月~15年6月)の治療件数は2万8153件で、10年度の9775件に比べて2.8倍に増えています。

全国で152万人いるとされるがん患者のうち、14年7月~15年6月の1年間でがんに関連する先進医療を受けたのは約1万件。

1人が1回受けたとしても、約0.7%です。

つまり、がん患者のほとんどの人が健康保険適用の治療ということなのです。

 

 

厚労省が「先進医療」と認めているのは101種類(16年9月)あります。

しかし、実際のがん治療では、国内未承認の薬剤の使用や免疫療法、温熱療法といった効果が定まっていない治療法も行われています。

これらの治療は、先進医療に含まれていない場合もあり、自由診療になります。

 

現在の医療制度では、公的医療保険と自由診療を併用することはできません。

唯一認められているのが先進医療で、混合診療をしても公的医療保険が適用されます。

ですが、自由診療を選択すると、公的医療保険が使えなくなって3割負担ではなく全額負担になってしまい、月額100万円以上かかるということも珍しくありません。

 

ちなみに、末期がんにも効果が期待できるとされる小野薬品工業の免疫薬「オプジーボ」は、年間3500万円(体重が60キロの場合)もかかると言われています。

一般の人には、これだけの費用を用意するのは難しいと思います。

通常のがん保険でもさすがにこれだけの金額は保障しきれません。

そうすると、お金のために治療を諦めるしかありません。

 

それでも、お金のために治療を諦めたくないという人には、自由診療に対応したがん保険も出ています。かかった医療費は無制限で保障してくれるのが特徴です。

がんは50歳を過ぎてから罹患率がぐっと上がるので、50歳以降の保険料はどうしても高くなります。

70歳から10年間の罹患率が30%になるということを考えても、高齢になればなるほどがんのリスクは高くなります。

 

一方、若い人は罹患率が低い分、比較的お手ごろです。

通販型の保険なら、30歳で月額保険料が2000円台、40歳なら3000円台です。

これに対し、50歳になると5000~6000円になってしまいます。

 

そこで、がん保険を安く入る方法を紹介しましょう。

住宅ローンの団体信用保険のがん保険を利用する方法です。

がんと診断されると住宅ローンの残債は全額返済されて0円になります。

たとえ2000万円残っていても全額返済されるのですから、もしもの場合でも家族にはマイホームを残すことができます。

 

保険料は金融機関によって異なりますが、ローン金利に0.1~0.3%の上乗せした金額です。

金融機関によっては上乗せ金利が無いところもあります。

借入金額が2000万円で払込期間が35年の場合、0.1%の上乗せをすると、月の返済額は973円のアップになります。

つまり、月額の保険料が973円ということです。

保険料に大きく影響する年齢も関係ありません。

 

住宅ローンを見直すときには、ちょっと検討してみてはいかがでしょうか?

ローンを支払う必要がなくなるなんて、ちょっと魅力的ですが、でも、そのためにがんにはなりたくありませんね。(長尾 義弘)