infectious dude
まったく困ったものだ。
世の中には理不尽な事がありふれてしまっている
だがそれは実は理不尽なことなんかじゃなくて必然であるということにだれか気づいているだろうか。僕の周囲にはそんな人間はいないのだが。
甥が死んだ。
彼は突然交通事故に逢い、昨日死んだという。
僕の6つも7つも下の弟の面倒をよく見てくれていた甥は中学生であった。
今、彼はこの俗世から脱し、ついに往生を遂げたのである。
この表現には語弊があるかもしれない。まさに彼は『理不尽な死』を遂げてしまったのに。それなのに往生?
泣けてくる
理不尽すぎて泣けてくる
昔の僕ならそう思えた。
しかしさいしょに言ったとおり、これは必然的なものであって、
誰もこれに逆らえないのだ。
すべては神の思し召すまま
僕達はそれを甘受するのみしか道は残されていないというのだ。
そういう意味で、彼は無事人生を終えた。しかもきっちり予定通り。
そう信じるのが一番合理的であって、この世の理にかなってると思う。
母は僕に制服を持たせた。「私は今夜まで仕事あるからあんた先におばちゃん家にいっておいで。お金はあとで払うから・・・・バイト代のこってるでしょ?ああ、新幹線のチケットかわな・・・ちょっと父さんパソコン貸して」
母は僕の新幹線のチケットを予約してくれている。
僕はその間冷静に、甥の死の意味を感じようとしていた
甥は福岡の小倉という町に住んでいた。
そこは工業地帯が昔から発達しており黒崎のおばあちゃんの家からそう遠くはない。
新幹線も博多まで通ってるから当然北九州は通るわけで、僕はその町の便利さがいつも羨ましくてならなかった。
とは言うものの僕自身も東京に住んでいるわけで、この街には何の不便も感じていない
しかし福岡というところにはどこからか分からない、不思議な温かさがある。
東京は怖いところだとか、よく田舎の親父がよく言うがそれほどでもない、しかし、確かにローカルな地域の温かさは感じるところがある。東京に住んでる人はよく分からないと思う。すでに自分が冷たい人間になってしまっているから。
甥はとても温かいやつだった。いつも僕に関わろうとする。僕があっちに帰ってくるときはいつも公園で遊ぼうとか、一緒にゲームをしようとか、そういうことを言ってくる。僕はそんな弟が嫌になるほど温かいやつだと思う。
結局僕のような人間はこの地には住んではいけない人間なんだろうな。
僕の中の氷は溶けるのだろうか。今キミタチに僕の氷について話す気持ちは全く無い。そんなに僕はすぐに人を信用できないんだ。
母はチケットを僕に取ってくれたようだ。
「用意が出来たよ。準備していらっしゃい。それにおばさんたちにコレを持っていきなさい」
母は東京名物『東京ばなな』を買ってきた。さすが母だ。東京の人には理解できない。
これからは東京は氷を抱えた人間が増えていくと思うけどそれはココではなくてはならない重要なものなんだ。ていうことも東京の人は知っている・・・・のだろうか。
