少し前のことになるが、携帯に見知らぬ番号から不在着信があったのでかけ直してみたら、北九州の音楽ホールからだった。

5月半ばに予定されていた酒井有彩のワンコインコンサートが中止になったので、チケット代金の払い戻しを行うとのこと。発券手数料込で千円に満たない金額なのでその必要はないですと答えておいたが、律儀に購入者全員に電話をかけているのだろうか。

コンサートチケットは公演日の数ヶ月前から発売されることが常なので、今の時期はチケットを買う側も売る側も難しい局面と言えそうだ。

実は彼女のコンサートは県内の別のホールで今年2月にもあって、そちらは同じ県内とはいえかなり遠方だったので諦めたのだが、今思えば聴いておけばよかった。

ラヴェルのピアノ協奏曲をメインに据えたデビューアルバムが、その選曲と配列の妙と相俟って、ふだんは殆ど聴くことのないショパンやラヴェルのピアノ曲の魅力を〝程好く〟感じさせてくれる好演盤だったので関心を寄せていた。

1枚のアルバムを作るとき、誰の作品をどういう順序でどのくらい収めるかというのは創り手はもとより、それを聴く受け手の側にも悩ましい問題で、以前ブログで取り上げた(その後CDを手放したので記事も削除した)藤井一興のモーツァルトやショパンのピアノソナタにクープランやフォーレの小品を絶妙な形で配したディスク(MM-4044)も、〝よりによって〟などというと彼のファンに叱られそうだが、最後に自作の現代曲を入れるという何とも腑に落ちない構成で、結局何度も繰り返し聴くディスクにはなり得なかった。

アルバム全体のプロポーションをいかに整えるかというのも、演奏家やプロデューサーの腕の見せ所だと思う。