年に数回グリーンショップというところから通信販売の冊子が送られてくる。

このショップは「暮しの手帖」の通信販売部門で、以前は雑誌の中で紹介されていた商品が、品数が増えて載せきれなくなった為か(私が勝手に解釈しているだけで、事実誤認があれば申し訳ない)、いつからか冊子として届くようになった。

品数が増えたといっても、一般的な通販カタログのように分厚いものではなく頁数にして40頁ほどの軽くて薄い冊子である(今回はそれに付録のしゃれた小冊子が付いていた)。

実に感じがよく、眺めているだけでも豊かな心持になるような商品が並んでいる。説明も簡潔でわかりやすく、某通販雑誌のように動物をダシにした思想信条のお仕着せも有名人による過剰な宣伝もない。通販カタログはこうあってほしいという見本のような素敵な冊子である。

貧乏になってここ数年はほとんど(というかまったくと言っていいほど)利用していないのに、律儀に送ってきて下さる。有難いことである。

こういうカタログの中から自分の暮らしに合ったものを吟味し買い求める行為はぜいたくなひとときだ。もちろんデパートに出掛けて、実際手にとっての買い物も楽しいわけだが、家にいながらお気に入りのカップに珈琲を淹れ好きな音楽を聴きながらカタログを眺める時間は、これはこれで格別といえる。

あるいは自分のためではなく贈り物としてえらぶ時にも、このように質の高いカタログだと贈り手としても安心である。

モノを買う、就中日々の生活の中で消費する食料品や日用品以外の、言ってみれば生きていくための買い物ではない買い物、もう少しいやらしい言い方をするなら欲望を擽るような買い物にはワクワクやドキドキが必須である。

そういう感覚を刺戟してくれるモノは意外に尠ないが、見つけることができればそれこそ一生モノで、長い目で見れば経済的でもある。

グリーンショップのカタログに載っている商品は芸術基調というよりは実用性に重きを置いている。だから愛でると言うより、実際に使いながら愛着を深めていく品々が多い。しかし、その方面に関しては極め尽くされている。

一頃定期購読していた暮しの手帖をまた読みたくなってきた。