CDラックにCDを並べる際、一番目立つのは本でいう背表紙にあたる部分である。

輸入盤には原則帯が付いていないのでそのまま並べるしかないわけだが、国内盤の場合は帯が付いているので、帯を付けたまま並べることになる(そのほうが曲目や演奏家が見やすいという利点もある)。

ところが、この帯の色がレーベル毎にずいぶん違う。有名なのはグラモフォンの黄色帯で、これはもう売場で遠目にもグラモフォンだと分かる定番カラーだったが、そのグラモフォンも近ごろは新譜で出る国内盤に黄色の帯を付けることが少なくなった(再発盤では採用されているが黒帯なども増えてきた。画像1枚目)。

帯色に関して創立以来変わらぬスタイルを堅持しているのがオクタヴィアレコードで(画像2,3枚目)、水色の帯はグラモフォンの黄色帯を髣髴させレーベルの存在感を爽やかな色味で示している。

一方、節操のないレーベルの最右翼がデッカ(DEECA)で、シリーズ毎に呆れるくらい帯色やデザインが異なる(画像4枚目)。同様にワーナーもひどい(画像5枚目)。赤帯をつけたかと思えば紺帯にしてみたり灰色、茶色等々やりたい放題。

ここまで色やデザインも違うと、シリーズ毎にまとめて買わせるためのアコギな販売戦略ではないかとすら思えてくる。

前者はPHILIPSレーベルを、後者はEMIレーベルをそれぞれ吸収し、扱う音源が増えたことも理由の一つかもしれないが、それにしてもあんまりだ。これほど統一感のない帯を一体どうやって並べればいいのか?

以前はネットで注文する前に実店舗で下見をして買っていたが、それも馬鹿らしくなり帯は剥ぎ取り輸入盤のように並べている(画像枚5枚目)。しかし、たいへん見づらく不便である。

中身さえよければいいというのは音楽にかぎらず一理あるわけだが、本でもCDでもそれを読んだり聴いたりしていないとき、すなわち本棚やラックに並べているときの時間のほうが圧倒的に長い商品の場合、その状態でどう見えるかも重要である。

メーカーの担当者は是非自宅に自分たちの企画したシリーズの商品を持ち帰り、他のシリーズといっしょに部屋に並べて一ト月くらい眺めてみてほしい。