一年前、退職が決まった頃上司に呼ばれた。


「調子どうだ?」

あなたと仕事してるんで、最悪です。

今は薬も飲んでるし落ち着いてます。」

そしたら彼はふんふんそうかそうか。と言い

「俺は理解者なんだよ」ヅラをして語り出した。

「実は俺の甥が同じ病気なんだよ」


関西の超有名国公立大学出身のエリートで

良い会社に入って、しばらくしたら発症。

もう10年以上になるが治っていないそうだ。

ずっと引きこもっていて、表に出てこないそうだ。

「その病気って治らないんだよな。

持って生まれたものなんだよ。

俺の甥は、何年も外に出れなくなっている。」


は?


口、あんぐりです。

こんな愚かな見本を、それまで見たことがなかった。

病気の本人を目の前にして

「治らない」なんて口が裂けても言えないけどな、ワタシなら。

こんな無理解な親戚がいたら、さぞ生きづらいだろうと

見も知らぬエリート君に同情を覚えた。


湧いてくる怒りを抑えつつ

「治るらしいですよ。医者にそう言われましたから」

と言い返したが、彼はまだ何か言っていた。


確かにネットで調べても、

長くこの病気で苦しんでいる人がいる。

でも、私たちは治るのだという願いや

希望を持っているから生きていられる。

ちゃんと社会復帰している人もいるし、

それは特別な例でもない。


言葉はむずかしい。

ワタシのかつての上司の言葉は

攻撃的で挑戦的で、凶器のようだった。

悪意のかたまりのように感じた。

ネガティブな言葉のエネルギーはすさまじい。

調子の悪い時に思い出すと

今でもやられてしまう。

彼は一体私に何を言いたかったのだろう。

今をもってしても理解不能だ。

良い意味で彼の言葉を裏切りたいと思っているが

一番いいのは「忘れ去ってしまうこと」だろうな。