2013 東京インターナショナルオーディオショウ | オーディオの楽しみ

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一音楽ファンの目から見たオーディオのページです。いい音で音楽を聴けるのは至上の喜びです。

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毎年恒例の行事で、今年もまた11月3日(日)に行ってきた。
今年はスピーカーを中心に聴こうと思っていたが、最後はやはり音の入り口に関心が向かってしまった。スピーカーはどれも素晴らしい製品ばかりだから、比べるのは音色が中心になる。

それで一番印象に残ったのは、やはり太陽インターナショナルのブース。プレーヤーはdCSのVivaldiが共通で、AdamオーディオとAvalonのIsisの2種類のスピーカーで聴いたが、Jeff Rowlandの新しいパワーアンプで動かしたIsisの暖色系でかつクールな、良質な音楽ホールを彷彿とさせる音色感の素晴らしさに改めて感激した。それで、「やっぱり私が好きなのはこの音色なんだ」というようなことを思った。

次に印象に残ったのは、MAGICOのQシリーズのスピーカーを聴かせたエレクトリのブース。アルミニウムを主体とした箱鳴りが極限まで抑えられたという2つのエンクロージャーの中央奥の方からは、精緻で求道的な静寂の極みともいうべき音がする。スピーカー本体は沈黙を守っているという風情で、緻密で温かみもある肌触りの柔らかい音は、ここでしか聴けない。特に女性ボーカルは息を飲む生々しさだ。箱鳴りを抑えるという行き方には、私は完全に共感する。

その他では、アークのブースのDANIEL HERZのアンプで聴いたスピーカーKtemaもオーケストラの音がよく立体的に響いていて思わず聴き入った。GIYA G3も非常に興味があってステラのブースに寄ったが、小さいのにびっくり。後で知ったが、新しく出たG4というスピーカーらしい。いずれにせよその時は音が聴けなかったのが残念。

で、音の入り口。
現在の音楽コンテンツ市場では、CDとiPodなどの携帯プレーヤー(CDのリッピング、圧縮ダウンロード)が9割以上を占めていると思う。しかし、今回のオーディオショウでは、CDがあまり見られなく、たまに聴かされるとPCMの響きが懐かしくさえ聴こえた。そしてiPodは完全に見なくなった。
代わりに使われたのは、SACD、ハイレゾ音源、そしてレコードだ。特にレコードの復権は目覚ましく、ほとんどのブースでレコードが使われていた。とにかくハイエンドでは、「CD以上の音、CD以外の音」に関心が向かっている。

一方で、世界的に見れば、一般的なデジタル音楽市場の方向はかなり見えてきたと思う。
世界的には、Apple(iTunes)、Google(Google Music)、Microsoft(XBox Music)など、どれもクラウド上に音楽ファイルを購入ないしアップロードして置いて、ダウンロード(同期)ないしストリーミングで、PC/タブレット/携帯/音楽プレーヤーを使って聴くという方向になってきた(日本では全部は実現していない)。ファイルは256kbps/320kbpsの圧縮音源で、永久所有権が与えられる。現在は非圧縮ファイル(可逆圧縮ファイル)をアップロードしてもクラウド側で圧縮される。
これでアルバムアートと解説が付けば、ネット上で音楽ファイルを販売するときは、このような形で決まりだろうか。

(CDの品質のファイルはネット上ではほとんど見られない。「CD品質」というのは、一種のタブーのようにさえ見える。ネットでは圧縮かハイレゾだ。CDがネットにとられてなくなって、一番困るのはユーザー自身だ。)