子供の頃、体育で「かけっこ」の時間になると、きまってスニーカーを脱ぎ捨てる男子がいた。「はだしの方が速いんだ!」と素足のまま誰よりも速くトラックを駆け抜ける彼の言い分を、ホントかよ? と半信半疑で聞いていた自分をよく覚えている。

だが近年、はだしに近い感覚の「5本指フットギア」を愛用するアスリートが増えているらしい。メジャーリーグの松井秀喜がヤンキース時代に
5本指ソックス を持ち込んだ話は有名だし、プロゴルファーの宮里藍は「5本指シューズ」を練習時に愛用しているとか。ひょっとして、はだし派の男子たちは正しかったの?

「足本来の機能を使い切るという意味では、はだしが理想的なのは確かです。5本指フットギアは、足指を独立して動かせるので、地面をしっかりグリップできて踏ん張りがききやすい。バランス感覚が高まることでパフォーマンスが向上するんですね」と語るのは、国内メーカー初の5本指シューズ『Globe』を開発したエムケイコーポレーションの辻崇広さん。

そこで実際にシューズを履いてみたところ、足裏全体と地面が接地しているのをダイレクトに感じられる。走ると指先が地面に喰いついて、足の力を最後まで伝えきれる感覚だ。自然と体が前傾して、スピードが乗る気もする。

「ウォーキングやランニングの際に五本指シューズ を使うと、土踏まずが鍛えられて、腰痛や膝痛が緩和される効果もあります。また日常的にも、指先が動きやすいので血流が促され、冷え性が改善されたり、扁平足や外反母趾の防止にもなりますね。靴の中が蒸れないので、オフィスで長時間靴を履き続ける人の室内履きとしてもお薦めですよ」

現代人の足の悩みを改善してくれる5本指シューズ。唯一の欠点は、個性的すぎる見た目ゆえに、すれ違う人々にギョッとされることか。スーツにも合う「5本指ビジネス靴」が登場すれば、かなり人気が出るかも?