★★★⭐︎⭐︎

芥川賞受賞作。

ザハ・ハディド案の新国立競技場が完成し、2020年のコロナ禍に予定通り東京オリンピックは行われた架空の東京が舞台。

主人公の女性建築家は、ザハの新国立競技場と対をなすタワー型刑務所〈シンパシータワートーキョー〉🟰《東京都同情塔》を設計する。

・建築論

・言葉に対する敏感さ

・生成AIの目新しさ

あたりがキーとなっている小説で、現代版バベルの塔だなーという印象。

生成AI（文章構築AI）については、

“ 他人の言葉を継ぎ接ぎしてつくる文章が何を意味し、誰に伝わっているかも知らないまま、お仕着せの文字をひたすら並べなければいけない人生というのは、とても空虚で苦しいものなんじゃないのか”

という記述があり、そこの部分は（苦しいかはさておき）しっくりきた。

ただ個人的には、目立つ固有名詞がゴロゴロ出てくる小説はどうもうまく読めないので、ちょっと苦手でした…。