物事をとらえる時は視野の広さが重要です。視野の広さを変えると見えてくるものや考え方が変化します。そして議論がまとまらない原因の一つに参加者それぞれの持つ視野の広さが異なっていることに気付いていないことがあります。

ここでは「電気自動車は環境に優しいかどうか」を具体例として様々な視野でとらえてみます。

(1)良くある考え方
ガソリン車やディーゼル車は排気ガスを大量に排出する。CO2だけでなくNOX(窒素酸化物)等も含まれる為大気汚染の原因となる。一方電気自動車は排気ガスを排出しない。よって電気自動車は環境に優しい。

これは自動車という物体だけが視野に入っている状態です。


(2)少し視野を拡大した考え方
電気自動車は充電しなければ走りません。では充電する元となる電力はどこからくるのかを考えるとコンセントのその向うに視野が広がります。すると以下の考え方が成立します。

電気自動車に充電する電力は日本国の場合、その大半が火力発電所由来である。火力発電所では重油を燃やすので大量のCO2等を排出する。よって環境へのインパクトはガソリン車と変わらず、環境に優しくない。

このように考えると電気自動車は本当に環境に優しいと言い切れるのかということになります。


(3)地域特性を視野に入れた考え方
2番の考え方は発電所の大半が火力発電であることが前提の考え方です。大半を水力発電で賄っているスイスのような地域では、電力がどのようにつくられるかを視野に入れても電気自動車は環境に優しいという考え方が成り立ちます。

日本国においても全国ではなく特定地域に限定して考えると考え方が違ってきます。東京都御蔵島のように島全体の電力を水力発電所で賄っている離島ならば電気自動車は環境に優しいという考え方が出来るようになります。

(4)具体的な場所を視野に入れた考え方
では日本国では自動車が大気汚染するか、発電所が大気汚染するかの違いでしかないから、電気自動車は環境に優しくないのかと言いますと、具体的にどこの大気が汚染されるのかということを視野に入れますとまた違っています。

ガソリン車やディーゼル車は自動車の走る所が大気汚染される。電気自動車の場合発電所のある場所だけが大気汚染される。発電所は通常工業専用地域等一般人の生活空間から離れた所にあるので、日常生活空間の環境は良くなる。よって電気自動車は環境に優しい。

このように視野を変えると見えてくるものが異なってきますし、考え方も変わってきます。物事は一つの視野だけでなく、色々な視野で考えることが重要です。特に意見がまとまらないような場合、相手はどのような視野で物事をとらえているかを察することも重要です。