著者が解剖学界で有名なのを、恥ずかしながら知らなかった。

 

解剖学者だからか、死に向き合う視点は非常にドライで、

死に関しての本質をついている。

『死』を恐れていなくて、『死』を忌み嫌ってもいない。

 

現代人は『死』に向き合っていない、

都市化と共に私たちは死体を遠ざけているのだ、と著者は述べている。

 

その象徴として紹介されている例が興味深く感じた。

 

著者が検体を引き取りにいったある団地は、

12階もある高層団地だがエレベーターに棺が入らなかった。

事実、その設計者は

「(若者だけの団地なので、人は死なない。だから)その団地で人が死ぬことを想定していなかった」と言ったそうだ。

しかし実際には、若かろうが、幼児だろうが、人は死ぬ。

 

都市化はそんな単純な事実を、私たちの目の前から隠してしまっている。