参考
 1986 年 4 月 26 日に突如発生した
旧ソ連・チェルノブイリ原子力発電所の事故が教えてくれた。

その事故では、
広島原爆がまき散らした放射能
(正確に言うと、セシウム 137 という放射能を尺度としている)
の約 800 発分の放射能が環境にまき散らされた。
汚染は全世界に及んだが、当然のことながら原発周辺の汚染は著しい。
旧ソ連国内の汚染地図を↑の図に示す。
この図は、セシウム 137 による汚 染レベルが 1 Ci/km2 以上の地域を、
汚染の強さに従って色の濃淡で示している。
一番濃い色で示してあ る地域は、
汚染が 40 Ci/km2 以上である。
この汚染のレベルがどの程度のものであるかを知るために、
 日本の法令で定められている汚染の基準と比べてみよう。
放射線や放射能を取り扱う場所は、
「管理区域」として規制を受ける。
その「管理区域」は「放射線業務従事者」と呼ばれる
ごく特殊な人(私もその一人であるが、その範疇に入る人は、
一般の人に比べて 50 倍まで被曝が許されることになっている)
だけが働く場所である。
しかし、その「管理区域」においても
無制限の汚染が許されるわけではなく、
汚染の上限は 10 Ci/km2 でしかない。
また、1 Ci/km2 以上の汚染がある物体は、
管理区域からの持ち出 しが許されない。

つまり、一般の人たちが生活している場所には、
1 Ci/km2 以上の汚染をもつ物体を存在させてはならないことになっている。
図で色が付けられている地域はすべて、1 Ci/km2 以上の汚染を 受けている。
それも、何かの物体が汚れているというのではなく、
大地そのものが汚れてしまっている。
 遠いところでは、
チェルノブイリ原発から 600 km 以上離れているし、
その面積の合計はおよそ 14 万 km2 に達する。

図で色づけされていないところにしても汚染がないわけではないし、
日本の総面積が 37 万 km2 であることを思えば、
汚染を受けた地域の広大さが理解できよう。 
 
 
 
 

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〔福島第一原発事故と「チェルノブイリ法」
~岩上安身によるロシア研究者・尾松亮氏インタビュー〕

(2016年6月2日   IWJ「ハイライト版」 )

 

 

 

 

 

 

【OurPlanetTV 等】
〔チェルノブイリ法を作った
事故収束作業員 アレクサンドル・ヴェリキン さん再来日 !

( パルシステム東新宿本部 )
(2015年11月26日)

 

 

 

 

 

 

 

 
表1=法に基づく放射能汚染ゾーンの定義
避難(特別規制)ゾーンとは、
チェルノブイリ原発4号機から
半径30キロ圏内の強制移住地域である。
移住義務ゾーンとは、
同様に長期的に外部放射線量の影響が継続することから、
移住義務を伴う地域である。
移住権利ゾーンとは、
年間の「実質的被爆量が1ミリシーベルトを超える」地域を云う。
放射能管理強化ゾーンとは、
旧ソ連の指針で使われた1Ci/km2(37000Bq/m2)以上の地域
を云う。
*
このところ放射線対策に関し、
様々な情報が錯綜しており、
基本的な防護政策が見失われつつある。
まず我が国の法律は、
年1ミリシーベルトであり、20ミリではない。
20ミリは、
原子力発電所等放射線を取り扱う作業員(従事者)に
適用される放射線量限度で、
子どもや乳幼児・胎児については許容されていない。
電離放射線障害防止規則6条では、
妊娠中の胎児に対する規定があり、
その線量限度は「妊娠中」年1ミリシーベルトである。
また年5ミリシーベルトの線量又は
40000ベクレル/平方メートルの放射性物質濃度の区画は
放射線管理区域として
関係者以外立ち入り禁止、かつ、飲食禁止である。
 
 
 
 
 
 
ではチェルノブイリ原発事故に被災したウクライナでは
どのように法的措置をしたかと云うのが表1である。
この基準の表1の( )書きの中にある数値(Ci)を
そのままミリシーベルトと読み替えると、
24時間外部にいた時の年間放射線被曝量と見てもらえばよい。
例えば移住権利ゾーンの(5~15)の地域は、
年間5ミリ~年間15ミリシーベルトに相当する区域
ということである。
では、右の方の記載の年間被曝量1ミリシーベルトは
何を意味するかと云うと、
外部被曝+内部被曝(経口・吸入)の
実質的な被曝量ということである。
つまり移住権利は、
基本的に放射性セシウム137からの外部放射線量に鑑み、
相当程度放射線防護を行い、
かつ、内部被曝低減政策を行っても、
被曝量を年1ミリシーベルト以下に抑えることが出来ない区域
を意味する。
その場合、
長期慢性被曝の状況が
今後10年余にわたって継続することから、
その場合蓄積線量が
5年間で5ミリ、
10年間では10ミリ
に達することが確実であり、
ウクライナ政府としては
そこが安全だと云えないと判断する地域
であることを示している。
従って住民には、
避難をする権利を認め、補償措置を行うということである。
それに対し
日本政府が20ミリという全く法律違反に拘るのは、
この移住権利ゾーンに該当する中通り地域には
140万人が居住し、
その補償措置が大きなものとなってしまう
という事由でしかない。
ウクライナ基本法の基本的な考え方は、
放射性セシウム137による外部被曝線量が高い地域では、
内部被曝低減政策に限界があるということを意味している。
それでも移住しない人たちには、
ウクライナ政府は、
保養措置やペクチン投与、汚染地帯への食糧配給などの
補償を行ったが、
疫学的には十分機能していない
と云わざるを得ないのが現実である。
低線量率放射線では、
体内に発生する[・OH]=ヒドロキシラジカルという
活性酸素が強い酸化力を有し、
この活性酸素が細胞内外に無秩序に発生し、
無秩序に周辺のタンパクを酸化する。
生体内に入り込んだ放射性核種を
選択的に取り除くことは不可能であり、
放射性核種が体外に排出されるまで
生体は内部被曝による酸化ストレスに耐えなければならない。
一番は、
汚染した水、汚染食品は
可能な限り口に入れないことだと指摘できる。
通常生体内で・OHが大量産生されることはない。
それは
O2-・(スーパーオキシドアニオンラジカル)であって
・OHは二次産物にすぎない。
さらに
O2-・を効果的に処理する手段を生体は持っている
特異的・OH消去系を装備していない。
・OH反応性は非常に高く生体細胞はそれに抗しきれない。
すなわち放射線被曝の最大の問題は、
制御されない活性酸素の産生にある。
継続的に線量が高く生体成分の酸化が
極度に進行するならば修復機構は対処が困難になる。
アンチエイジングも放射線には、
被曝線量限度問題だと強く認識してもらいたい。
放射線は浴びない、獲りこまないに限る。
因って蓄積量が指標になる。
この原理からウクライナの法的理念が打ち出されている。
つまり、
本質的に免疫力が弱く、細胞分裂が盛んな、
とりわけ子どもへの影響を洞察し、
策定されたのがこのウクライナ基本法である。
しかし
それでも汚染地帯に居住する住民たちには、
懸命な放射線防護にも係らず病気が拡大していったのである。
だから、
このウクライナの移住権利ゾーンに10年居住する場合、
測りきれないリスクを負うものとの理解が必要である。
 
 ~本編~

 

 

 

〔ウクライナ報告【低線量長期被ばくの初期症状】

エフゲーニャ・ステパノワ博士 〕

〔1986年の事故当年の初期症状〕

〔1986年の事故当年の最も典型的な反応〕
〔1987年~1991年の初期症状〕

〔1987年~1991年の初期症状『機能障害』〕

 

 

~チェルノブイリ原発事故
(1986年4月26日)から約14年後~
(2000年12月発表の研究寄稿)
川野眞治氏(京都大学原子炉実験所) 
<リクビダートル(事故処理作業従事者)>


• ウクライナ内被曝者数、
約342万7000人、
そのうち、病気にかかっているのは、
10代の子どもを含む大人では82.7%、
10歳未満の子どもは73.1%で、
作業員は86.9%で最高と指摘

(ウクライナ非常事態省)


~チェルノブイリ原発事故
(1986年4月26日)から約19年後~

【ウクライナ犠牲(だけでも)150万人か
~チェルノブイリ原発事故】
(2005/04/24 【共同通信】)
~旧ソ連ウクライナ共和国だけの2005年度データ
(⇒ベラルーシ、ロシア除く)~


被曝者:約350万人(⇒うち120万人が子供)

被曝関連死:150万人以上(被曝者の約43%)

 

~参考~