時を刻む鐘の音が街の隅々まで響く。このトロア地方には至るところに塔があり、定時に鐘が鳴るのだ。特別に宗教が濃い場所でもないのだが、場所によっては歴史的に重要な遺産も残されている。

「トロアのテンプル騎士団だ。」

町の者が馬に乗った剣士を指し、そう告げる。魔剣士が7名からなる、エリート部隊で、このトロア地方のテンプル騎士団。三角系の騎士がよく用いる長槍を持つのが特徴で、首には十字架がある。

「調査中だ。道をあけてもらおう。」

大きな声で、街道を進む複数の魔剣士。特別に態度が大きいわけでもないが、気合が入っている。

「いたぞ、目標を確認。」

「あいつだ。捕まえろ。無理なら、生死は問わない。」

厳しい表情で、ひとりの人物を指差す。どうやら、今回の目的の相手がみつかったようだ。

「騎士か?私に何のようか。」

追われているようにみえる人物は、逃げるわけでもない。トロアの騎士団は、目標を囲んだ。

「街中だぞ。慎重に!」

「場所を変えて相手になってもいいのだぞ。」

男は、複数の長槍に包囲されているが、余裕な口調で話している。だが、魔剣士に焦りはない。

「少し先の広い場所まで、来て頂く。」

旧時代の遺跡の跡があり、その前には戦闘に調度良いところがある。そして、その周りを畑を森林が囲む。遺跡は、石が積み上げられていて、以前は建物があったようだが、今は瓦礫の山。

「バンバイア、ついにみつけたぞ!!」

「正体を知っていて、なお挑むというのか?愚かな集団よ。」

作戦としては、捕獲を最優先としているようだが、それも難しいと判る。目線で合図をする魔剣士だった。

「古の氷の精霊よ。我との契約を守り、氷の力を貸したまえ。」

後方で、3人の魔剣士が、呪文を唱えて、残りは前方から、切りかかった。

「とりゃ!」

ラインハルトの長槍の複製品は、偽物とは思えないほど、すごい武器だ。攻撃を紙一重でかわしたバンパイアは、安心していたのだが、それでもダメージを与える。長槍は右肩をかすめていたが、そこから氷つく。

「なに?かわしたはずが・・・。」

1人目の攻撃に続いて、2人目の攻撃が連動して行われた。前方を担当する魔剣士の息は乱れていない。予想外の強さにバンパイアは驚きをみている。

「今だ。食らえ。」

後方の術を唱えていた者達は、魔法を完了すると、目的の周囲は、全て凍っている。比較的に広い範囲魔法に避けることはできなかったため、バンパイアは動きを封じられた。

「なんと・・・。」

足元から、凍っていく。氷の結晶に閉じ込められたバンパイアは遺跡の一部にみえる。人通りの多い街道だが、このときばかりは、通行人もいない。