視線に入る道の上の影。
あれは、ねこだ。
ちょうど子猫が2、3ヶ月たち、ちょろちょするこの時期は特に多いので、すぐそう思った。
反対車線にいたのはキジトラの子猫だつた。
病院に行く前はなかった、まだ30分もたっていない。
すぐにUターンして脇に止める。
もう息をしていないのがわかった、頭を轢かれたらしい。そっと持ち上げると体もやわらかく、まだ温かい。
まるでまだ生きているかのような感触だった。
こんなに小さいのに膝の上で丸くなっている姿は本当に寝ているかのようだ。野良猫かな、お母さんは探してないかな、がんばって生きていただろうに。怖かったね痛かったねと背中を撫でながら三島神社にむかった。
神様に断って、山の途中に埋めてやり、掘った石を目印において、手を合わせた。
改めて三島神社のお社にも寄って、もう一度小さい命を預けますとお願いして手を合わせた。
そして今日、お供えでもしていこうかとみたら!!
石がくずれてる?嘘でしょ!
すぐに車から降りて見に行く。
木の根元の埋めたはずの盛り土は雨で流れたのか、犬が掘り返したのか、今さっき掘り返した感じはしない。意を決して掘ってみた。
亡骸は、なかった。
そんなことがあるのだろうか、といろいろ考え、穴が浅かったのかも、土でよく固めなかったからかもと考えるけど。
中途半端に埋葬した自分が招いた結果だ。こんなことになるなんて!
キジトラちゃんごめんね。
怖い思いして亡くなったのに、そのあとも身体に痛い思いさせて。
ごめんねと言いながら、穴を埋め戻し石を元に戻した。