ようやく夏季休暇がとれるようになり,
家の用事諸々を済ませ,
明日から叔父の初盆の為に兵庫に向かい,
しばし江戸で家族や友人達と会うので,
最近の出来事をいくつかまとめておこうと思う。
8年勤めた男子校で,1年からの持ち上がりで,
2回目に送り出したのシェケナベイビーボーイ達も,
人生のメインエベント(なまってます)を迎え,
結婚だの子供の出産などいろいろな報告が耳に入っている次第ですが,
7月の半ばに,2代目ボーイズのKenseiから電話を貰い,
何かあったのかしらんっと思っていたら,
「先生,僕今オーストラリアに居ます!」っというものでした。
すごく驚いたのと, 嬉しいのと,オーストラリアまで会いに行きたいのとで国際電話で小一時間しゃべった。 Lineの通話は海外でも無料であるという,一昔だったらドラえもんの世界の超文明社会ならではの贅沢。携帯なんかない,もっぱら手紙でしか意思の疎通が出来なかった20代を送った昭和の女の私には,2代目ボーイズが羨ましい感じ。誰かが,私に「先生の高校時代はもっぱら糸電話ですか?」って面白いことを言ってくれたのを思い出す。
ところで,
Kenseiは地元で柔道整復師として数年働いた後,ワーキングビザを使い渡濠している。
彼から「先生,俺今どこで働いていると思いますか?」っと聞かれたので,
もちろん骨接ぎ関係だと思ったから,そう答えたら,
「寿司屋です。」っと返され,また驚かされた。オーストラリアでは寿司屋のバイトの時給は1800円近くあり,一日フルで働かなくても,月に20万円ほど稼げ,同じく高校時代から渡濠しているお姉さんと共に住むアパート代や,生活費などが十分まかなえるらしい。
同じ寿司屋でフルで働いている同僚は月40万円程度収入があるらしく,生活費は高いのだろうけど結構美味しい話だなっと,ここ地元の最低賃金はまだ600円台に比べれば,その話を聞いた人は皆感じるところだと思う。
Kenseiは高校時代からしゃべりが面白く上手で,友達思いなため,
誰からも好かれる人だった。
サッカー部に所属し,
クラスメイトとの掛け合いには嫌み無く絶妙なつっこみができる話術の天才とも言えた。
日々,日本の英語教育及び雑用に忙殺された人間らしからぬ蟹工船生活を送っている私は,
彼からの電話の最中ずっと笑いっぱなしで,すごく楽しかったし嬉しかったしリフレッシュできた。
彼からの一番面白かった質問は,
「先生,英語をどうやって学んだら良いですか?」だった。
その土地自体,彼の周囲全てが教材だらけの中にあって,外に出て地元の人達とふれあって,時にはパブにでも入ってお酒を飲みながら話をしたら良いじゃないっと伝えた。
聞き取りは多少出来ても,まだしゃべることが出来ないらしく,
オーストラリアの田舎町では,日本の地方と同じく,
買い物に出かければ,おばちゃん達がこの一日本青年に話しかけてくるらしく,
なかなか返せなくて悔しい思いをしてるらしい。
なもんで,
文法や語彙を身につけるために,
日本から4冊ほど参考書を持ってきて,合間を見ては勉強しているそうだ。
彼が日本で仕事をしているときは,アフターファイブは仲間や同僚と居酒屋でストレスを発散していたらしいけど,バイトが終わって自分のアパートに直行し,夜に何をしているかといえば,「英語の勉強です。」と述べていた。私自身,彼のテンポの良い口調にここでも大爆笑だった。きっと大変なのだと思う。
寿司屋のお客さんはほとんど地元の人だから,注文を正しく受けないと店に迷惑がかかるし,
相手が言われていることを正しく理解できないとならないから,現地でバイトをしているだけですごいなぁ-と私は思ったし,
日本では全く英語とは無縁の世界で生活してきて,
急に英語の,しかもなまりの酷い英語の世界でサバイバルせねばならないところで,
高校時代履歴書を15枚ほど書き直して,「先生,俺もう心が折れました。」って言っていたあのKensei
が頑張っているということを想像するだけで,頭が下がる,彼は本当に偉い。
「あんたは,偉い!」
Kenseiが
「今しか行けないと思って,海外に来ています。」
「一回りも二回りも大きくなって帰ってきます。」と言っていたこと。
私はあなたのこと誇りに思ってる、自慢の教え子だと思ってる。頑張って,Kensei!
日本では,
コンビニエンスストア以上に多い整骨院で,
競争が激しく大変かもしれないけど,
Kenseiには技術があるので,柔道整復師という職も,外国人相手にも出来ると思う。
海外の柔道のチャンピョンのメンテナンスの為に,君の技術が必要ですと言われる時が,
きっと来る。いや,来るように,君のすばらしい話術を英語で出来るようにして,
そちらの出会いを大切にして,チャンスを自ら掴んで頑張って欲しいです。
いつも君の報告を楽しみにしている私がいることを忘れないで欲しいです。