言葉は道具ではない。
若い世代には外国語が出来る人がいない。
それはなぜか,
「言葉とは何か」
という根本的な考え方が間違っているからだ。
英語を学ぶとき,
あなたたちを英語学習に動機付けようとすると,
「英語が出来ると10億人とコミュニケーションできますよ」という方向に行ってしまう。
でも,
自分の言いたいことを外国語で言いましょうという動機付けではほんとうは外国語は学べないんです。
方向が逆だからです。
外国語の学習というのは,本来、自分の種族には理解できない概念や,存在しない感情、知らない世界の見方を,他の言語集団から学ぶことなんです。
「俺には是非言いたいことがある。でも英語が出来ないと,自分の気持ちが伝えられないから,英語を勉強する」という人は,自分の身体実感にふさわしいような英語は使えるようになるでしょう。
けれども, そこから先は行けない。
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文科省が「英語が使える日本人育成のための行動計画」を示したのが,
2003年のことですが,
それから後も子供達の英語力低下には歯止めがかからない。
歯止めがかからないどころか,急坂を転げ落ちるように劣化している。
要するに,
「グローバル化が進展していて,国際的な経済競争が激化しているし,外国でのビジネスチャンスや雇用機会も増えているから,この趨勢にキャッチアップするために英語運用能力は必須である」ということがいいたいいのだが,
でも,それはそれだけです。
そこには外国語を学ぶ「喜び」や「感動」について語った言葉が一つもありません。
書いてあるのはほとんど,「金」の話しです。 あと少しだけ「威厳」の話。
英語が出来ないと金にならない。
英語が出来ないと見下される。
これがこの行動計画を動かしている基本的な英語観です。
そう言って,子供達を脅しつけている。
そこにあるのは,
誰でも言いそうな言葉だけです。