英語教育,迫りくる破綻 ~斎藤兆史先生編~ | 女王様のブログ

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ある女性教師の日常のこと,悩みや課題を率直に書いた,ぶっちゃけ話。

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斎藤先生にお会いするのは,慶應義塾大学で行われた英文解釈再考 のシンポジウム以来なので,

かれこれ4年ぶりだ。

その時,先生はロンドンの大学に研究しに行っておいでで,日本にはおられなかった。

東大の教授の風格を醸し出しつつ,穏やかに,しかしテンポよくお話しされる先生は,今回もとても興味深いお話だった。


講演後の懇親会では,どの先生もそうだったのですが,

参加した皆さんが先生のところにお話ししに集まり,先生たちを囲むので,なかなかお話できるチャンスを狙うのが大変でした。


やっと斎藤先生にお話をさせていただく機会がやってきたので,

「先生,わたしのこと覚えていますか?」とお聞きしたら,

「慶應に来ていた方でしょ?」っと言われ,

私のことを覚えてくださっていたようでv(^-^)v,「ヤッター!」と思わず万歳をしてしまいました。


そう,私はミーハーで単純です。

そして,明日の投票日もしっかりと自分が支持する候補者に投票しに行き,清く正しく美しく,毎日健全に幸せに暮らしている,理想な市民のお手本です。


イギリスに住んでいた時まで選挙に行った私。(外国人の私になんで投票権があったのかは未だに不明ですが),余談。


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講義の内容の前に,ご存じない方もおられると思うので,

先生の肩書は,

東京大学教育学研究科・教育学部教授です。

ハードロックをこよなく愛する,別名「ハードロッカー兆史」です。


教育学部なので,免許更新の講座を開かれると思って散々探したのですが,

東大は教員の免許更新にはかかわっておられず,本当に残念です。

免許更新制が始まったら,絶対に先生のところへ行くつもりでしたから,本当に残念です。

仕方なく,今回,津田塾の言語学学会からの帰りのバスで不快な会話をしていた東京学芸大学の学生のいる大学で,ヴィゴツキーの講座があって,それを受講しようと思っていますが,そこの学生に会うのは心底嫌です。正直,東大生がいいです。


先生が講座を開講しないのならば,

いっそのこと私を先生の研究室に入れていただきたい。わたくしには,今以上に,ワンダフル東大教育学研究科にする自信があります。

私が来れば間違いなく面白くなるし,損はさせません。

3本のダーツもシングルブル(ど真ん中)に命中させ,実際迫害も弾圧も受けた経験から,戦闘力も100ほど持ち合わせており,命をかける決意もできています。子供を守る母親ですから。(最後はわけがわかりませんが)


・・・・・・・・・・・・いつもながら,前置きが長くてすみません・・・・


さて,今回,先生が最初に述べていたことは,

英語ディベート大会の全国大会出場校には,SELHI校皆無で,

上位入賞校はほとんどがスーパーサイエンススクール校であったことだ。

つまり,「SELHI校はディベートに弱い」っということでしょう。


日本の英語教育問題の本質


・日本語と英語が構造的にかけはなれている。

・日本国内では日本語だけで不自由なく生活できる。

→日本語母語話者が英語を習得することは難しい。


間違った前提に基づく提言

・学校で何年も習ったのに英語がしゃべれないのは,教え方が悪いからである。だから,

  「習ったようには教える   

  文法規則は教える  


  文学を使う

  訳す


  英語教育,するな,するなのⅣ(死)の破綻誘因(命名byわたし) 


  英語教育を,音楽教育に置き換えて比喩的に言ってみると,

  楽譜は読ませるな

  耳から音を覚えさせ,とにかく口に出して歌を練習した後は, 

  カラオケ80点程度を目標にせよ

 

 音楽教育では文句は出ないのに,英語教育ではなぜか問題視される。 


「屈辱の英語教育」と称して,斎藤先生は,

夏目漱石の言葉を引用しておられた。

ブログのペタ友の晴彩さんから,郁文館学園は,「吾輩は猫である」の先生の家の裏の悪ガキ達の学校だということを教えていただき,

斎藤先生はきっとご存じで引用されたことが,

粋な感じで私の中で兆史株が上がった。


「英語の力が衰えたー原因は,日本の教育が正当な順序で発達した結果で,一方から云ふと当然のことである。

何故かと云ふに吾々の学問をした時代は,総ての普通学は皆英語で遣らせられ,(中略)吾々より少し以前の人に成ると,答案まで英語で書いたものが多い。(中略)処が「日本」と云ふ頭を持って,独立した国家といふ点から考えると,かゝる教育は一種の屈辱で,恰度,英国の属国印度と云ったような感じが起こる。(中略)日本に学者さへあれば,必ずしも外国製の書物を用ゐないでも,日本人の頭と日本の言語で教へられぬと云ふ筈はない。」

(夏目漱石「語学養成法」1911[明治44年])


斎藤先生の英語教育への提案

一,母語教育を充実させるべし

一,(小学校ではなく)中学校・高校の英語の授業を充実させるべし

一,「コミュニケーション」という呪文をとなえるのを止めるべし

一,自主的な語学学習を支援する施設や部局を作るべし

一,英語が使えるようになりたかったら,ある程度まで自分で努力すべし


   総称して,正義の味方べしファイブ(命名byわたしv(^-^)v)

最後の聴衆からの質問の返答の場で,先生がお話しされた耳寄りな話は,


・翻訳(訳読)がとても大事だという専門書が出てきた

 出典も述べていたが,メモできなかった。残念。


それから,


・まずは母語で話すこと,100パーセント話せるようになってから外国語をする。


・地道に英語学習していく,音読暗唱,文法をしっかり学ぶことが大事である。


・日本英文学学会には講師派遣制度があるので,是非活用してほしいとのこと。(私が知りたいのは,講師料はおいくらくらいかしらということ。)

 今年赴任したばかりの学校は,生徒たちに自らテーマを決めさせ,研究をさせ,それを発表させる時間が週に一時間あり,出来ればそういう機会に先生が呼べたらいいなぁーと思っている。


問題はmoney ¥・・・

先生がこちらへ遊びに来るついでにでもしていただけるといいのだけれど,

街の案内は私がしますんで・・・(^人^)。


この文章を読んでくださっていますように!願ってます。