育てたいのは,どんな「ことばの力」ですか? | 女王様のブログ

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ある女性教師の日常のこと,悩みや課題を率直に書いた,ぶっちゃけ話。

少し遅ればせながら,この本を手にしました。

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書籍の中でチェックしたい部分があれば,以前は赤ペンで線引きしていたのだけれども,後の人のことを考えて最近は色付きの付箋をつけている。


こんな感じ↓


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この本にはオサレなブックマークも付いている。


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英語教育専門の方々でなく,

言語学や発達心理学・認知心理学,そして教育学のご専門の先生方が,「英語教育」について語っているのだが,

我こそはと,その道(英語教育)の専門家と豪語して話をする人たちよりも,

ずっと英語教育についてご存知のような気がする。いや,ご存知だと感じる。


わたしが付けた付箋のほとんどが参考になる,もしくは共感できる箇所だった。


書籍の中の全ては紹介しきれないが,

それぞれの先生方のお言葉で気になるところを少しを紹介したい。


大津由紀雄先生

・日本における外国語,一般的には英語ということになってしまうのですが,私は外国語学習の第一義的意義は母語を相対化するための手段を手に入れることにあると考えています。


・「日本語を知っている」からといって「日本語について知っている」ということにはならない。


・英語はあくまで脇役。母語に対する引き立て役といっていいかと思います。引き立て役とは,さっきの言葉を使えば,母語を相対化するための手段で,決して主役にはなりえないということです。(ココの部分は,私が本校に来てから,『英語はイロモノ教科』と言っているのと同じだ。)


・私は常日頃から「ひとの主張を読んだり,聞いたりするときは,誰がかいたものであろうが,誰が話したことであろうが,必ず,《そのはなしは本当なのだろうか?》と疑いの心で接することがたいせつだ」と繰り返しています。


・英語はあくまでも脇役。(2回目)


内田伸子先生

・即効よりも底力


幼児のリテラシー(読み書き能力)や語彙の獲得に,社会文化的要因がどのような影響をあたえるのかということについての,他の国々との比較研究は大変興味深かった。


・子どもの語彙力が多い家庭は,共有型しつけを受けている。語彙力がない子どもは,権威主義的な強制型しつけを受けている。


・高所得層の家庭では,蔵書数が多い特徴。低所得層の家庭でも蔵書数が多い子どものリテラシー得点は高い。


・共有型スタイルのもとで語彙が豊かになり,学力も向上する。


・強制型しつけをとる母親は子どもに,考える余地を与えない。トップダウンの介入をしている。


・小児医学雑誌に2007年に出された,生後6ヶ月から10ヶ月間DVDを一方的に視聴させる1600名の赤ちゃんを5年間追跡したデータ結果も興味深い。


・CUMMINSとNAKAJIMAの入国年齢と英語読解力の関係を見た貴重なデータ結果を知り,バーバラ植村さんの娘,歌手のAIちゃんが日本の学校で勉強についていけなくなったときの話を思い出した。日本にやってきた外国生まれの子ども達についても同じようなことが言えると思う。


・日本の国語教育もそれほど褒められたものではありません。


・第二言語をよりよく習得するというのは,どれだけその言語の文化に真剣に向き合うかで決まるように思います。


・第二言語と格闘している子どもは,言葉を相対化して捉える能力を身に付けやすい。だからといって,日本で第二言語を早期に教えるべきだということでは決してありません。(ある帰国子女の学生のレポート)


・50の文字を覚えるよりも,100の「なんだろう?」を育てたい。


・子ども達は国際化と情報化が進展するなかで,直接体験から生まれる発見と感動が希薄になっているようです。傷つくことを恐れるあまり,多様な人間関係のるつぼに身を置くことをきらって,自己確立を避けているかに見えます。


ラボ・テューターの熊井さんの実践活動報告が入り,

実際に,子ども達に寄り添い,子ども達の言語能力・表現力を引き出された,大変感動的な実践が紹介されている。


佐藤学先生

・学びとは「出会いと対話」,聴きあう関係から出発する


・未来と接続する教育の観点からするなら,単数の親はなくなるべきである。そのとき,教師はまさに親の一部であり,常に新しい親たちでなければならない。


・学校改革ではよくお金が足りない,人が足りない,それから時間がないということがいわれます。しかし,一番足りないものはビジョンです。


・教育には三つの哲学が必要。・公共哲学・民主主義の哲学・卓越性の哲学


・学び教えるという仕事は,絶えず現実を越えていこうとする挑戦です。

「学びは背伸びとジャンプである。」


・聴きあう関係から学びあう関係へ


・言語は道具や技能ではなく,文化体験そのもの


・英語というのはもう一人のわたしを作ることだと思うんです。もう一人の自分をつくる活動として英語が見えてくると,おもしろくなってくる。


・「英語を学んで変身願望を実現してみないか?」「もうひとりの自分,憧れの自分をつくってみようよ。そういうチャレンジをやってみようよ」と。そのように英語と親しんでいくほうが,自然な学び方のような気がするんです。


・言葉の世界を豊かにしていく,コミュニケーションを繊細にしていく喜び


・英語の協同的な学びは,ただ形だけの協力だけになっている。人が育ってない,言葉が育っていかない。


・“authenticity ”ことばの真正性「本物の英語」を使う。


本日,まさに,生徒の基礎学力を身に付けるには?コミュニケーション力を身に付けるには?という話題になったので,早速参考にさせていただく。

佐藤学 内田伸子 大津由紀雄が語る ことばの学び、英語の学び/著者不明
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