池上嘉彦「意味論」の実験について | 女王様のブログ

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興味深い回答を発見!

一つの言葉から連想されるものは, 人それぞれで異なっている。

色でいえば, 青色が, ある人には緑に見えたり, 別の人には紺に見えたりするのと似ている。


Question

池上嘉彦「意味論」(1975, 大修館書店)のp310に大学生1000人を対象に「美しい」という言葉に対して10秒以内に答える反応語の頻度を調査した結果が出ていると思うのですが、その順位として一位「花」、二位「女性」、三位「人」・・・と12位まで出ているようなのですが、その中の四位、九位に出てくる言葉が何だったのか教えてほしいのです。おそらく、名詞、形容詞以外の品詞の言葉だと思われるのですが、こちらでは確認できないので・・・


Answer

池上嘉彦の『意味論』にはなんと4位と9位はありません。
彼の図はもともと
梅本尭夫(ウメモト, タカオ)(1969)『連想基準表 : 大学生1000人の自由連想による』東京大学出版会
の資料によるものです。実験は1962年に京都近郊の大学生(男子600名、女子400名)について行われたもので、刺激語に対して10秒以内に自由に連想した語を記すというものです。

で、その結果、「美しい」については次のようになりました。(数字は総数、男女別の数は省略)
1.花 262
2.人 118
3.女 86
4.女性 53
5.汚い 48
6.山 45
7.女の人 32
8.顔 26
9.え(絵、画)21
10.美人 20
11.景色 18
12.綺麗 17 (17位に綺麗な 7、足して24)
13.風景 13
14.彼女 11
14.自然 11
16.心 9
17.音楽 7
17.綺麗な 7
17.美術 7 (以下略)

池上はこの一覧表をもとに、左側に類似性、右側に近接性に基づく語彙を並べました。
類似性に基づく語彙は同義関係「キレイ」と反意関係「キタナイ」をおきますが、「キレイ」には「綺麗」と「綺麗な」を統合したようです。
近接性に基づくものはおおきく<人>と<自然>に分けています。

4位がないのは、「女」「女性」「女の人」をまとめたからでしょう。
9位がないのは、「え」が<人>でも<自然>でもないから。



ちなみに私が連想したのは、「海」だ。